モールド金型の部品のほとんどは金属製であり、炭素鋼をベースとした鋼材が使用されています。こららの素材は、機械加工によって所望の形状に機械工作されて金型部品となりますが、機械工作の中でも最もシンプルで加工効率が良いのが切削加工です。切削加工は、工具(刃物)によって鋼材等を削って加工します。旋盤やフライス盤による加工は切削加工です。切削加工は、そのプロセス自身は長年の金属加工の歴史において世界各地で膨大な量の加工が行われてきましたが、その過程で切削加工の理論体系はかなり確立されてきています。経験と勘による切削加工ではなく、理論に基づいた切削加工を行うことが精密金型の部品加工では必要になります。
そこで、切削加工における専門用語について解説をします。
<工具回転数>
回転工具が、単位時間に回転する回数のこと。 単位 min-1
<切削速度>
工具と工作物の相対速度のこと。 単位 m/min
<送り速度>
工具と工作物の相対的移動速度のこと。 単位 m/min
<切削抵抗>
工具の刃先が切削加工において受ける抵抗力のこと。 単位 N
<半径方向切り込み量>
ピックフィードとも呼びます。工具が半径方向に切り込んでいる深さのこと。 単位 mm
<一刃当たり送り量>
工具一刃当たりの工具と工作物との相対的な移動量のこと。 単位 mm/tooth
<切削効率>
切削加工において、単位時間における所用動力1kW当たり排出される切屑の容積のこと。生産能力の目安となります。 単位 cm3/min・kW
<切削動力>
切削加工に必要な動力のこと。 単位 W
<切削温度>
切削加工によって発生する熱による切削点の温度のこと。工具と工作物のせん断面における材料の塑性変形や、工具と切り屑の摩擦により発生する熱によって工具先端の温度は上昇します。 単位 ℃
<除去体積>
切削加工によって除去した材料の体積のこと。 単位 cm3
<切削長>
工具切れ刃と工作物の相対移動距離のこと。 単位 m、km