工場で使用される空気式アクチュエータ用のエネルギー源である空気圧は給油式コンプレッサで作られます。この状態の空気には、油分、水分、機械の磨耗粉などの不純物が含まれるため、このまま機械設備のエネルギー源としては使用できません。
また、給油式コンプレッサからLCA(ローコストオートメーション)の空気式アクチュエータまでは長い距離があるため、各種の配管で接続されています。この長い距離の間には、色々な機械が同じ空気を使用するため、お互いに空気の質に影響を与えます。
一方で、LCA用の駆動用機器類や空圧回路などは、コンパクト化や低コスト化の要求から構造が複雑で緻密になりがちなため、生産ラインでは保全活動が不適切だとトラブルが絶えません。
ここでは、空圧回路のトラブルを回避するための適切な空気の質を生成するクリーンエアーシステムの基本を解説します。
(1)工場内のエアー配管の区分
コンプレッサからLCAの空気エネルギー使用端までを、次の4区画に区分します。
1. 空期源ライン
2. メインライン
3. サブライン
4. 使用端ライン
(2)空気の質の分類
空気エネルギーの「空気の質」は、それが使われる生産ラインや生産品により分類します。
a)一般産業エアー d)精密クリーンエアー
b)精密産業エアー e)超精密クリーンエアー
c)クリーンエアー f)メディカルクリーンエアー
(3)空気の質とは
下記の項目で空気の質は区分します。
1. 空気の質(圧縮空気中の異物種類)
2. 水分、油分
3. 固形物のサイズと除去率
4. 臭気
(4)空気の質の区分とクリーンエアーシステム
ここでは、LCAに関連が強い4種類の空気の質について解説します。
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■用語解説
露点・・・水蒸気を含む気体を圧力一定のままで冷却するとき、含まれている水蒸気が飽和し水滴になる温度。この指標で空気の乾燥度合を評価します。
(5)クリーンエアーシステムの例
下記の各種フィルタが4区分の空気供給ラインに設置され、それぞれのLCAに応じた空気の質を生成します。