ここでは、実際にエアシリンダを選定するときのシリンダ推力効率μの決め方と、絞り弁の調整について解説します。

(1)エアシリンダの推力計算(詳しい解説はこちら)

  1. エアシリンダの推力は、パスカルの原理から次式で算出できます。
    エアシリンダの(理論)推力(F)=ピストンの受圧面積(A)x使用圧力(P)
  2. 実際には、エアシリンダ内部の部品同士の摺動抵抗や連結した駆動部の摩擦抵抗により計算で得られる推力よりも低い値となります。この効率がシリンダ推力効率:μです。
    実際のエアシリンダ推力=ピストンの受圧面積(A)x使用圧力(P)xシリンダ推力効率(μ)

(2)推力調整との関係

  • エアシリンダのピストン部の内部構造によりピストンの前進時と後退時では受圧面積が違います。後退時の受圧面積はピストンロッドの断面積分だけ小さいので、後退時の推力は弱くなります(【図1】参照)。
    【図1】ピストン構造と前進/後退時の推力変動
  • この前進時と後退時の受圧面積の違いにより生じる推力の差分だけ絞り弁の調整に差を持たせ、往復動作時の前進と後退の作動状態の違いを少なくするのが、エアシリンダの絞り弁調整の勘所です。

(3)シリンダ推力効率:μの選び方

  • シリンダ推力効率:μは次の式で定義されています。
    シリンダ推力効率:μの数式
  • シリンダ推力効率:μはエアシリンダの駆動運転状態により変化します。次の数値が目安です。(【図2】参照)
    【図2】エアシリンダの推力効率
  • エアシリンダの動作パターン(【図3】)には、加速域、等速域、減速域の3つのパターンがありますが、加速・減速域では作動安定性は得られません。停止位置精度を要する場合などは、等速域の範囲を使用すること。
    【図3】エアシリンダの動作パターン