概要
独立した3列の搬送ローラ配置機構を採用しても、基板と接触している全てのローラ接触点で摩擦力が均等に成るようにしなければ、ガラス基板の搬送方向が曲がる問題が生じる。
解説
搬送-3(自動化ノウハウ編)で薄板基板の搬送には独立3列搬送ローラ機構が好ましいことを解説した。ここでは、この構造における基板の搬送方向について解説する。
1)ローラ配置の数
- 基板の変形による搬送力の不安定化の影響を避けるために、基板の支持点を増やし各ローラ接触点での荷重と摩擦力を安定化させることが考えられる。
- しかし、上記の対策のみでは基板裏面と接触している全てのローラ接触点での摩擦力を均一にすることはできない。
2)ガラス基板の搬送安定化
- 搬送物を搬送ライン上をまっすぐに移動させるためには、搬送のための摩擦力が作用する方向をまっすぐに向けさせること。
- 基板のローラ支持点数が多いことと、搬送に作用する摩擦力の方向をまっすぐに向けさせることとは関連が無い。
- 何らかの理由で搬送ローラに生じる摩擦力に偏りが生じると、搬送物は直進せずに搬送の向きが変わり搬送トラブルを生じる。
- 図1は、基板の左端側の搬送ローラの摩擦力が大きく、中央、右端になるほど摩擦力が小さくなった場合の搬送基板の挙動イメージである。摩擦力の偏りの理由として、1.搬送ローラの連結シャフトの曲がりや 2.搬送ローラの偏摩耗、3.搬送機の水平基準の傾きなどが想定できる。
- したがって、独立3列搬送ローラ機構の採用のほかに基板を支える搬送ローラ部での摩擦力の均一化の対応を盛り込む必要がある。