ベアリング用アクセサリとは、ベアリングの構成および取付に該当する機械要素部品である。
使用事例・種類・特徴
使用位置事例
ベアリング用アクセサリの使用位置事例を図1に示す。
図1.ベアリング用アクセサリの使用位置事例と組付け
ベアリングは転動体、内輪と外輪の構造となる。図1に示すようにベアリングの内外輪を回転軸とハウジングに固定する時、軸方向から力を加えて内輪と外輪をそれぞれの部品に押し付けて固定する。この固定する際に使用する部品がベアリング用アクセサリである。
種類と特徴
表1にベアリング用アクセサリの種類と特徴を示す。
表1.ベアリング用アクセサリの種類と特徴
ベアリング用 アクセサリ |
外観 | 緩み止め 性能*1 |
特徴 | |
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外輪固定 フランジ |
標準タイプ | - | ベアリングの外輪を軸方向にフランジの固定ねじで押す部品である。 | |
シールタイプ | ベアリングの外輪を軸方向にフランジの固定ねじで押す部品で、オイルシールの取り付けができる部品ある。 | |||
内輪固定 ねじ |
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ベアリング用ナット、 菊座金 |
強い | ベアリングの内輪を軸方向に押すねじとねじに緩み止めを防止する座金で、ゆるみ止めは軸に加工した溝に座金内径の舌を差し込み、ナット締付後座金外周の菊状舌をナットの溝に入れることにより、行う。 | ||
ハードロックナット | 強い | ベアリングの内輪を軸方向に押すねじを2個の偏芯したテーパ構造のゆるみ止めナットで固定する。 | ||
ファインUナット | 標準 | ベアリングの内輪を軸方向に押すナットに取り付けた弾性体により緩みを防止して固定する。 | ||
精密ロックナット | 弱い | ねじ端部を精度良く加工したナットを用いてベアリングの内輪端面を均等に押すことを可能とした固定ナットである。 | ||
緩み止めロックナット | 標準 | ベアリングの内輪を軸方向に押すナットの緩みを止めねじを用いて固定するナットである。 | ||
カラー | - | ベアリングの内外輪の軸方向位置を決めるため回転軸またはハウジングの穴に入れて使用するカラーである。 |
注釈
- *1
- 記載の「緩み止め性能」は著者の経験知を記載した。従って、使用者は、この記載を基に緩み止め構造を吟味した使用を勧める。
「外輪固定フランジ」は、円盤状の板の中央の周囲に固定用のねじ穴の開いた部品である。「内輪固定ねじ」は内輪を押えるナットであるが、そのゆるみ止めの手法はさまざまである。「内輪/外輪カラー」は円筒形状の部品となる。
選定のポイント
ベアリングの形状に合わせた選定
例えば、単列深溝玉軸受6206ZZ(内輪φ30×外輪φ62×幅16mm)の場合、内輪を軸方向に押すねじは、ナットのカタログを参照し、M30×1.5のメートル細目ねじを使用する。また外輪を軸方向に押し付けるフランジは、その型式の形状にあったものを使用する。
要求される緩み止め性能に合わせたナットの選定
ベアリングの内輪を固定するナットは回転軸にねじ加工し、このねじが回転中心軸と一致することでねじのゆるむ方向に力が作用するので、固定ねじに緩みを及ぼす環境で使用することになる。従ってこのねじにはゆるみの外力が働く環境を考慮したナットの選定が必要である。