ロッドエンドベアリングとは2部品の固定などに用いられ、両部品の相対的な変位をその球面滑り構造によって許容する機能を果たす機械要素部品である。
構造・用途・使用事例
構造
図1にロッドエンドベアリングの外観写真と図面を示しており、次の構造となる。
図1.ロッドエンドベアリングの構造
- ねじの加工されたホルダ、穴の開いた球面内輪、ホルダと球面内輪の間のブッシュからなる。
- ロッドエンドベアリングのホルダ構造は、おねじとめねじの製品があり用途によって使い分ける。
- 球面内輪とブッシュの間のすべりにより両部品が、ある範囲の相対動作が可能となる。
- 相対動作は、球面内輪の軸穴の傾きと回転である。
用途
- 穴の開いた球面内輪とホルダねじにより部品同士の固定を行うことができる。
- 負荷となる軸方向荷重によってロッドエンドベアリングの使用サイズを変える。
使用事例
ロッドエンドベアリングの使用事例を表1に示す。
表1.ロッドエンドベアリングの使用例
使用例 | 概要 |
---|---|
エアーシリンダーの直線運動をリニアガイドの移動体に伝える目的で両部品をねじ固定する際、その中間にロッドエンドベアリングを配置し、両部品の移動に伴う微小変位を当該部品で吸収する。 | |
部品Aと部品Bを連結棒で固定する際、両部品位置の曖昧さを連結棒を用いて、吸収する。曖昧さの誤差は、軸方向の長さと両部品の回転変位である。ロッドエンドベアリングの取り付けのねじで長さにより距離を調整し、回転機能で回転変位を除去する。 | |
リンクを用いた駆動軸の軸方向移動を従動軸に伝える目的で両軸をリンクにねじ固定する際、その中間にロッドエンドベアリングを配置し、両部品の移動に伴う微小な回転変位を当該部品で吸収する。この時、駆動軸、従動軸の逆端は回転変位が許容できる構造となっている。 |
- ロッドエンドベアリングを使用する際、下記の点を考慮しなければならない。
- 各部品を固定する際、球面内輪とブッシュ間のすべり移動により両部品の固定位置の誤差を吸収できる。
- このすべり移動は球面による軸穴の回転と倒れである。
- 両すべり運動は荷重下における連続移動には適さない。
- 各部品を固定する際のロッドエンドベアリングの可動範囲内で使用すること。
選定のポイント
選定のポイントは下記3点となる。
静負荷容量
- ホルダのねじ軸方向に加わるラジアル荷重が静負荷容量以下となる条件で使用すること。
- 負荷荷重を考慮して、下記の通りロッドエンドベアリングの選定を行う。
- ロッドエンドベアリングの静負荷容量ラジアルCsを用いる。その参考値を表2に示す。
表2.静負荷容量の参考値
傾斜角の許容値
傾斜角の許容値を考慮して、下記の通りロッドエンドベアリングの選定を行う。
ロッドエンドベアリングは使用する固定部品の位置決めの誤差を吸収するため固定する場合、傾斜角の許容値範囲で使用すること。その許容値を表3に示す。
表3.傾斜角の許容値
ロッドエンドベアリングの取り付け法
ロッドエンドベアリングで各部品を固定する場合、図2のように取り付け法を下記の通り説明する。
図2.連結棒を使用した取付とねじ固定
参考
負荷荷重を考慮した選定
ロッドエンドベアリングは負荷荷重に伴う、使用制限がある。この制限を超えた仕様を行った場合、破損の原因となるため、使用者はこの点を押さえて選定しなければならない。その制限について下表に示す。
表4.負荷荷重を考慮した選定の注意事項
項目 | 内容 |
---|---|
軸方向荷重 | 軸方向荷重は、ロッドエンドベアリングの諸元値に記載があるのでこの荷重以下で使用する(【静負荷容量】から) |
直角方向荷重 | 軸方向と直角方向の荷重を支持することはできないので、この荷重が加わる場合の使用はできない。この方向に荷重を受ける構造となっていないためである。標準タイプのロッドエンドベアリングは、軸方向荷重に対して、その球面構造で軸方向荷重を支持するわけであるが、軸方向と直角方向の構造は取り付けのためのねじ穴に占有されているため、荷重を受けるスペースが確保されていない。 |
揺動動作 | 揺動動作を制限する傾斜角の許容値は、ロッドエンドベアリングの諸元値に記載がある。この許容値以下で使用する。(表3) |
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