オートテンショナーとはベルトまたはチェーンなどに一定の張力を常時加え、張りを自動的に調整する機械要素部品である。
構造・用途・使用事例
構造
オートテンショナーの外観と構造を図1に示す。
図1.オートテンショナーの外観と構造
方式 | 外観 | 構造 |
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ローテーション タイプ |
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スライダー タイプ |
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オートテンショナーには回転方式の「ローテーションタイプ」と並進方式の「スライダータイプ」がある。主に使用されることが多い「ローテーションタイプ」の構造を図2に示す。
図2.ローテ―ションタイプ回転力発生構造
断面が四角形状の四隅に円柱形状のゴムが4本配置されており、このゴムで構成される4か所のすき間に四角形状の角部が入れ込む。また内角のねじりに対して円柱状のゴムが変形してオートテンショナーの回転力が発生する構造となっている。
使用事例
図3にチェーンによるオートテンショナーの使用事例を示す。
図3.ローテーションタイプの使用事例
ローテーションタイプのオートテンショナーを両アイドラーのチェーン中央部にたすき掛けして、このたすきの角度を調整することでテンションを加えることが出来る。
図4にスライダータイプの取付方法と事例を示す。
図4.スライダータイプの取付方法と使用事例
ベルトの内側から外側に向かって、ベルトにその力が加わるように取り付けている。
選定のポイント
選定のポイントは下記3点となる。
設置スペースによる選定
図1、で示す通り「ローテーションタイプ」と「スライダータイプ」があるが、両者の選択は、その設置スペースで選択する。構造上ベルトの運動方向に取り付け空間がある場合は「ローテーションタイプ」を選択し、ベルトと直角方向に取り付け空間が確保できる場合は「スライダータイプ」を選択する。
オートテンショナーの配置
図5に示す様に、一方方向の回転の場合と両方向回転する場合でオートテンショナーの配置が異なってくる。一方方向の場合は緩み側にオートテンショナーを使用し、両方向回転する場合は上下にオートテンショナーを使用する。
図5.オートテンショナーの配置
テンション力による選定
オートテンショナーのばねはローテーションタイプとスライダータイプによって最大テンション力が変わる。ローテンションタイプの場合は最大ねじれ角度と最大テンション力。スライダータイプは最大テンション力と初期テンション力を満たすように選定する。図6にて参考値を記載する。
図6.テンション力の参考値