スプラインとは、スプライン軸とスプラインボスを用いてコンパクトな範囲で上下回転移動が必要な際に用いる機械要素部品である。
構造・用途・使用事例
構造
スプライン軸とスプラインボスを組み立てた外観図を図1に示す。
図1.スプライン外観
表1でスプライン軸とスプラインボスを用いた動作説明を行う。スプライン軸の歯形とスプラインボス内径の歯形が一致することで、両部品が噛み合う構造となっている。両部品が噛み合った状態におけるスプラインボスの動作は、軸方向の直線移動に対して滑ることが可能で軸が回転する際は歯形が噛み合っていることによって回転する。
表1.スプラインの動作説明
スプライン軸 | スプラインボス | 備考 | |
---|---|---|---|
動作1 | 駆動回転 | 従動回転 | スプライン軸をモータで回転するとスプラインボスは同期して回転する |
動作2 | 停止 | 直進駆動 | スプラインボスのスプライン軸方向移動に対して、リュートスプライン軸は、停止状態を保つことが出来る |
用途
一軸で直線移動と回転運動を可能とするので、コンパクトな機構とすることが出来る。従って、このコンパクト性能を要求される機構系で使われる。
使用事例
図2にスプラインの回転上下移動について事例を示す。
図2.スプラインの使用事例
駆動軸はモーター回転によるねじ送りでスプラインボスの上下移動を可能としている。スプライン軸はモーター回転によりアームの先端部品を駆動する事例となっている。
選定のポイント
伝達トルクによる選定
スプライン軸とスプラインボスは駆動軸と従動ボスの関係となり、両者で伝達できるトルクの上限値は決まっている。図3に示す通り、参考値として許容トルクで示されているのでこの値を用いて選定する。
図3.伝達トルクの参考値
モジュール | 歯数 | 形状 | 歯先円直径 | 外径 | 歯幅 | 許容トルク(N・m) | 許容トルク (kgf・m) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
A | D | E | 歯面強さ | 歯面強さ | |||
m1.667 | 8 10 13 16 |
T1 | 13.7 16.7 21.7 26.7 |
40 45 55 65 |
25 30 38 45 |
33.2 59.6 125 222 |
3.38 6.08 12.8 22.6 |