ストロークプランジャとは、他部品の位置決め・加圧に用いる機械要素部品です。本体にばねを内蔵し荷重を与えると本体の内部に沈み込み、荷重が解けるとばねの力で元に戻る機能がある。
構造・用途・使用事例
構造
図1にストロークプランジャの外観と構造を示す。
図1.ストロークプランジャの外観と構造
ストロークプランジャの外筒は目的の部品に取り付けるため、ねじ切りがされている。先端のボールまたはピンに荷重を与えると、内蔵されているばねが沈み込み、荷重が解けるとばねの力で元に戻る。図2には、フランジ付きの円筒に内蔵したピン構造のストロークプランジャを示す。
図2.フランジ構造のストロークプランジャ外観と構造
用途
ばねの力を用いて、他部品の位置決めや加圧による固定に用いることが出来る。ピンの移動距離は、数mmから数十mmが可能となる。商品によって用途が異なるため、表1にてタイプと特長について示す。
表1.ストロークプランジャのタイプと特長
タイプ | ノーマル | ショート | ブロック一体型 | 小径 | 小径 ストロークピン |
ストロークピン |
---|---|---|---|---|---|---|
特長 | 一般的なスプリングプランジャです。 | 全長・ストローク共に短いスプリングプランジャです。 | ブロックとプランジャを一体化した商品です。 | 外 径φ1.5~ 5の小径タイプです。省スペースに貢献します。 | 先端に樹脂がついており、基板の押さえ等に適しています。 | ブッシュ内蔵の押さえに特化したプランジャです。 |
タイプ | 先端タップ付 | ガイドロング | ボディ先端六角穴 | 六角ピン | 先端フラット | フランジ付 |
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特長 | 先端にストップピン等が取付けられます。 | ピンのガイド部が長く、斜めからの荷重にも強いプランジャです。 | ピン側先端に六角穴が空いているため六角レンチで取付けられます。 | ピン形状が六角のため、スパナでピンを掴んで取付けられます。 | ワークにフラット面で当てたいシーンに適しています。 | フランジによりプレートからの高さを一定にできます。 |
使用事例
図3にブロックの穴内にははめ込んで、被固定部品を押さえ板のねじ締めで位置決めしている。ここで押さえ板を取り外して、被固定部品を取り出す時にその下部に配置したストロークプランジャのピンが被固定部品を押し出し、作業者が被固定部品を取り出しやすくする。
図3.ストロークプランジャの使用事例
選定のポイント
仕様による選定
ストロークプランジャはストロークと荷重が選定のポイントとなる。図4にその諸元値について示す。
図4.スプリングプランジャのストロークと荷重
ストローク | 荷重・N | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
S | 極軽荷重用(PJLSW・PJLSK) | 軽荷重用(PJLW・PJLK) | 重荷重用(PJHW・PJHK) | |||
min. | max. | min. | max. | min. | max. | |
1.5 | 0.12 | 0.4 | 0.4 | 1.3 | 0.8 | 2.94 |
3 | 0.12 | 0.4 | 0.2 | 1.3 | 0.6 | 2.93 |
2 | 0.27 | 0.65 | 0.9 | 2 | 2 | 8.8 |
4 | 0.18 | 0.65 | 0.6 | 2.1 | 1.9 | 8.75 |
3 | 0.4 | 3 | 1.4 | 9.7 | 2.7 | 16.3 |
5 | 0.35 | 3 | 1.1 | 10.3 | 1 | 17.1 |
3 | 1.8 | 3.05 | 6 | 9.8 | 8 | 26.4 |
5 | 1.5 | 3.05 | 3.4 | 9.86 | 4.4 | 26.6 |
3 | 1.9 | 3.15 | 6 | 9.9 | 14.7 | 27 |
5 | 1.4 | 3.15 | 4 | 9.83 | 6.7 | 26.6 |
5 | 1.6 | 4.6 | 5.7 | 14.7 | 8.2 | 45.7 |
10 | 1.6 | 4.6 | 4.4 | 14.7 | 6.2 | 45.1 |
5 | 1.7 | 4.7 | 5.8 | 14.7 | 18.2 | 49 |
10 | 1.6 | 4.7 | 5 | 14.7 | 8.2 | 49.1 |
15 | 1.8 | 4.7 | 6.9 | 14.7 | 7.5 | 48.9 |
10 | 2.8 | 10.8 | 9.2 | 34.2 | 18.9 | 68.5 |
15 | 2.6 | 10.8 | 8.6 | 34.4 | 14.4 | 68.6 |
20 | 2 | 11 | 7.1 | 34.4 | 4.2 | 68.6 |
先端形状による選定
スプリングプランジャの異なる先端形状を図5に示す。
図5.スプリングプランジャの先端形状
先端を「フラットタイプ」「球面タイプ」「テーパRタイプ」の中から選択することが出来る。また先端にタップ穴が加工された製品も供給されており、このタップを用いてユーザーが設計した先端形状部品を取り付けることも可能である。
固定法による選定
固定法は図3にその外形を示しているが、表2のように分類される。
表2.ストロークプランジャの固定法
名称 | 固定法 |
---|---|
外形にねじ加工 | ねじ穴にねじ込み使用する、ねじのねじ込み寸法で、押し付け力の調整が可能となる |
円筒形状の外形 | 穴に入れて位置決めし、円筒部をその周囲から止めねじで押し付けて固定する |
フランジ形 | 端部に取り付いたフランジの取付穴に固定ねじをねじ込んで固定する |
ブロック形 | ブロックに加工された取付穴に固定ねじをねじ込んで使用する |