無給油ブッシュの材質には金属と樹脂の2種類がある。今回は、樹脂製の無給油ブッシュについて、その特徴やメリット・デメリットについて紹介する。
樹脂タイプの無給油ブッシュとは
無給油ブッシュに使用される樹脂は、さまざまなものがある。代表的な樹脂とその特徴を表1にまとめる。
表1.代表的な樹脂とその特徴
材料名 | 特徴 |
---|---|
4フッ化エチレン(PTFE) | 耐熱性、耐薬品性に優れた材料である。耐熱性に関しては-196~260℃と広範囲で使用可能。耐摩耗性はガラス繊維などの充填剤を封入すると摩耗量が軽減される。ただし溶融時の粘度が高いため、射出成形ができないことが欠点である。 |
ポリフェニレンサルファイド(PPS) | 樹脂材の中でヤング率の最も大きなこの材料は、耐熱性、耐薬品性に優れるが、衝撃に弱い点が欠点である。溶融時の流れは良好で、射出成形に向いた材料である。 |
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) | 自動車部品用に使用量が増加してきた材料。耐熱性、耐摩耗性に優れており、高純度材が供給できる。 |
熱可塑性ポリイミド(TPI) | 耐熱性、加工性に優れた材料である。射出・押出成形加工が可能である。 |
ポリアミド(PA) | 吸水性があり、吸水によって寸法が変化するので注意が必要。高い耐衝撃性を持ち、ガラス繊維などとの複合材として使用される場合が多く、成形性、耐油性に優れた材料で、射出成型性は良い。 |
ポリアミドイミド(PAI) | 耐熱性、耐放射線特性が良いが、吸水特性があり、吸水によって添いの強度が低下する性質がある。 |
ポリエーテルイミド(PEI) | 機械的特性、難燃性の特性を有する成形性が良く、温度、湿度の変化に対応できる耐環境特性は良好である。精密機器に用いられることが多いが、滑り軸受としては摩擦係数が大きく、耐摩耗性は悪い。 |
これらの樹脂は、どれもこれも一長一短あるため、必要な性能によって材質を選ぶ必要がある。選ぶ樹脂によって、大きく性能が変わるのが樹脂タイプの無給油ブッシュの最大の特徴でもあり、メリットでもある。
樹脂タイプの無給油ブッシュのメリット・デメリット
樹脂タイプのメリットは、軽量でありコンパクトに作られていることである。それにより省スペースや低コスト化が図れる。潤滑油やグリスを必要としないため、埃やゴミに強く周辺機器に油が付着することがない。樹脂は錆びることが無いので水中での利用も可能。樹脂の性質を使うことで、薬品の中や超高温や超低温、宇宙などで利用できる。
デメリットは、樹脂の種類によって特性が異なるため間違った選択をすると破損などの危険性が高まることである。金属製のものよりも強度が弱く、熱膨張しにくいため摩擦熱が大きくなった場合に破損する可能性がある。
樹脂材と焼結材の違い
樹脂材の一番の特徴は軽量であること。一方の焼結材は、金属を高温で焼き固めるものなので、樹脂に比べて重量がある。この2つの素材の違いについて表2にまとめてみた。
表2.樹脂材と焼結材の違い
特性 | 樹脂材 | 焼結材 |
---|---|---|
重量 | ○ | × |
強度 | × | ○ |
摩擦特性 | ○ | ○ |
軽荷重 | ○ | × |
速度 | ○ | × |
熱膨張率 | × | ○ |
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