無給油ブッシュの材質には、大きく分けて2種類ある。ひとつは金属のブッシュで、もうひとつが樹脂のブッシュである。今回は、金属タイプの無給油ブッシュについてメリット・デメリットや特徴について紹介する。
金属タイプの無給油ブッシュとは
ブッシュは、軸とブッシュの摩擦によって熱を生じる。金属は、摩擦熱によって変形したり、溶解したりして、固着しかじりが発生する。そのため、金属タイプのブッシュは、摩擦熱を低減させる必要がある。摩擦熱は摩擦力に比例するため、いかに金属の摩擦係数を下げるかがポイントになる。摩擦力は摩擦係数に加える力を乗じた数値である。摩擦係数を下げるために使われるのが潤滑油だ。潤滑油を接触面に注入することで油膜を形成し、接地面が小さくなる。それによって摩擦係数が小さくなり摩擦熱が低減される。
無給油ブッシュは、給油を必要としない、または給油回数を著しく減らしても作動するブッシュである。金属タイプの無給油ブッシュは、潤滑油がなくても金属自身が潤滑の代わりになるものや、潤滑油を含浸した金属を使用することで潤滑油を給油しなくても良くしている。
金属タイプの無給油ブッシュのメリット・デメリット
メリットは、高速での回転時の振動や騒音が転がり軸受よりも少なく済むことである。薄くコンパクトにすることが可能で軽量化が図れる。より高温や低温で使うことも可能である。
デメリットは、金属を腐食させるような薬品を使う場面では使えず、鉄を使う場合には水によって錆びるため水中で使えない。グリスを潤滑油として封入してあるような場合、温度差が激しい場所や、宇宙のような空気のない場所では油が溶解してしまって使用不可能となる。
金属タイプの種類別特徴
金属タイプのブッシュには、焼結、鋳鉄、銅合金の3つのタイプがある。表1にそれぞれの特徴についてまとめる。
表1.金属種類別の特徴
種類 | 特徴 |
---|---|
焼結 | 焼結された金属間に潤滑油を含浸させて、摩擦熱で溶けだした潤滑油が摩擦の低減を助ける。JIS Z 2550に、「純鉄系」「鉄-銅系」「鉄-青銅系」「鉄-炭素-黒鉛系」「青銅」「青銅系」の6種類の焼結材料が規定されている。一般的には、軽負荷で高速回転するものに使われる。 |
鋳鉄 | 鋳物自体の空間に潤滑油を含浸させる。この潤滑油が摩擦熱によってブッシュの表面に溶け出し、摺動面に油膜を生成することで摩擦の低減をしている。高温になる場所で使われる。 |
銅合金 | 円筒状の穴をあけて潤滑油を充填したグラファイトを埋め込んでいる。グラファイトは自己潤滑性がある材料で、金属間の摩擦に対して潤滑油の代わりになっている。耐高温性、耐衝撃性に優れており、高荷重で低速運動の領域で使用される。 |
おすすめ商品
無給油ブッシュ・ワッシャ
無給油ブッシュを規格やブランドから選ぶ
材質(金属)から探す | 青銅 黄銅 鋳鉄 スチール焼結 |
---|---|
材質(樹脂系)から探す | POM(ポリアセタール) PTFE(フッ化エチレン) 高性能ポリマー系 ポリフェニレンサルファイド |
材質(複層系)から探す | スチール・青銅焼結・四フッ化エチレン スチール・青銅焼結・ポリアセタール スチール・銅系焼結合金 金属メッシュ・四フッ化エチレン アルミニウム・ふっ素樹脂 ポリアセタール |
取付軸はめあいから探す | d8 e7 g6 h6 h7 h9 f8 f7 |
取付穴はめあいから探す | G7 H6 H7 M7 |
環境から探す | 標準 耐熱 耐異物 耐振動 油中 水中 海水中 薬液中 食品 |
ブランドから探す | イグス NTN オイレス工業 大同メタル工業 ZOB(ゼット・オー・ビー) ミスミ |