基礎シリーズ第5弾。てこの原理で地球も動かせる?倍力機構の概要&てこ、トグル、クランク機構を用いた使用事例をご紹介
- 倍力機構とは / てこ機構
- トグル機構
- 倍力機構の使用例
倍力機構② トグル機構
トグル機構は2つのリンクとスライダーから構成されるリンク機構の一種であり、入力によって部材が入力方向に移動し、倍力構造によって出力が増大する機構です。
トグル機構のメカニズム
図2 トグル機構のメカニズム
図2は、関節Oは固定、Aは固定されず自由に動くトグル機構のメカニズムを表した図です。
関節Aから垂直に作用する力をF0、F0を作用させたとき、Bに働く水平方向の力をF2とし、節OAとABの長さが同じであると仮定すると、
の数式が成立します。
タンジェントは右側の図3のような周期を持つため、θ/2の角度が90°になるにつれて、力が急速に増大します。
よって、OAとABが直線(180°)に近づくほど、F2は急速に増大することになります。
さらに、 θ/2の角度が90°になるとリンクが一直線になり、入力が除去されても外力に対して非常に強い構造となります。
このトグル機構は、トグルクランプに応用されています。
図3 タンジェントグラフ
トグル機構の応用 トグルクランプ
トグルクランプは、トグル機構のメカニズムを用いてモノを固定する治具です。図4を用いて、ご説明いたします。
図4は、AとBが固定されている4節リンクで構成されています。BCとCDがトグル機構となり、
節Cからの入力に対して節Dが動作することになります。この動きによって、クランプパッドが相手部品を固定(クランプ)されます。
ロック時、節CはBDを結ぶ線よりわずかに内側に入り、クランプ物をロックします。 そのため、外力が加わった時、
節Cは赤矢印方向に動こうとしますが、開放と逆方向のため開放できなくなります。
開放のためには節Cを開放側へ動かす必要があり、この機構がロック時の大きな締圧力を生み出しています。