精密計測を行う上で、精度に悪影響を与える外乱要因として、[1] 振動、[2] 熱変位/熱変動、[3] 電気ノイズなどが挙げられます。ここでは、センサ素子などを用いて計測を行う場合の電気ノイズについて解説します。
(1)電気ノイズの影響
センサを選定する場合、その感度の良いものを選びがちですが、センサの感度が高ければ高いほどノイズの影響も受けやすくなります。これは、センサが周辺環境からノイズを拾ったり、センサ自身からノイズを出すこともあるからです。
【図1】はセンサの信号成分とノイズ成分、及び、両者が加算されて測定信号として計測される信号波形の関係を示したものです。信号成分の出力レベルが微小な場合は、ノイズの合成させた計測信号波形から知りたい測定値を得ることが出来なくなります。
(2)信号成分とノイズ成分の関係
信号成分とノイズ成分のそれぞれのパワー(二乗平均値)の比を、S/N比(Signal/Noise比)と呼び、このS/N比が小さいと信号とノイズが識別できなくなります。S/N比=1とは、信号出力レベルとノイズレベルが同等レベルで区別ができない状態です。S/N比は10以上が望ましい関係です。
(3)計測制御システムとノイズ処理の基礎
・ | センサで検出された信号は制御システムに送信され、測定値とプログラムの設定値との比較により、LCA(ローコストオートメーション)の駆動制御などに使用されます。 | ||||||||||
・ | このセンサ検出信号は、通常はアナログ信号(連続的に変動する信号形式)で検出されるが、制御システムではデジタル処理を行うため、アナログ信号→デジタル信号の変換(A/D変換)を行います。 | ||||||||||
・ | A/D変換を精度良く行うために、特に周辺ノイズの影響を抑える工夫が必要です。すなわち、S/N比を高くするためのアナログ信号の処理を行います。このことをシグナルコンディショニングと呼びます。 | ||||||||||
・ | シグナルコンディショニングの概要は下記。
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