製品のライフサイクルの短命化やグローバル化などの企業競争の環境変化は、流通在庫が死蔵品になるリスクを回避するために、生産ロットを出来る限り小さくする生産形態に変えました。その結果、品種切り替えが頻繁となり、投入部品の調達管理から作業指示や作業管理、工程管理、治具・生産機器の調整など作業を支援する間接費用の増大が顕著となりました。
このような背景から、大型の設備投資を抑制し資産の回転率の向上と効率的な多種少量生産の狙いで、セル(細胞=自律的単位)生産方式の検討が盛んに行われています。
セル生産方式の典型としてU字型ライン(【図1】参照)や1人生産方式などがあります。特徴は現場の知識・経験を100%活用する考えで、作業者とハードウェアのそれぞれが持つ能力を組み合わせ、より柔軟な生産対応をすることです。そのためには現場のノウハウに基づきライン全体の効率化を実現するための自主的な製造装置(LCA:ローコストオートメーションなど)の素早い考案能力が要求されます。
さらに、IT技術を利用してインターネット上で改善活動を早くまわす試みもなされています。ここでは、生産現場とスタッフ部門が離れていても「いつでもどこでも誰とでも」の感覚で改善支援が可能な環境の提供が狙いとなっています。
これらのセル生産方式から要求されるハードウェアニーズは、以下の項目が挙げられます。
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さらに、生産規模の変動へのフレキシブルな対応とその労務費にムダを生じさせないために、労務費の変動費化を狙ったパートタイマの活用が多くなっています。1人生産方式では、パートタイマの方は都合の良い時間帯に出勤して生産し、その対価として出来高で賃金が支払われるのが一般的です。これらの生産方式は、現代のこの国のライフスタイルに適合した生産方式と言えます。また、品質・生産性において自己責任が明らかに出来るメリットもあります。
これまで3回にわたり変遷する生産システムに対応させてLCAの流れを解説しました。それら全てのLCAは下記の基本構成で成り立っています(【図2】参照)。