(1)金属浸透法
金属の拡散現象を利用して、表面から他の金属を拡散浸透させて合金層をつくる方法を「金属浸透法(melallic cementation)」といいます。その主なものは、鋼に対するAL浸透calorizing、Zn浸透sheradizingそしてCr浸透chrmizingなどです。
これらはいずれも、拡散を行いますので、高温で行います。従って炉や釜が必要で、これに入らないような、大物は処理できません。私たちが比較的目にするのは、アングル・チャンネルなどの型鋼や、電線管などです。これらは、浸透させる材料(Zn浸透の場合の浸透材は、亜鉛末と酸化亜鉛の混合物)と共に、鉄製の密閉釜に入れられ、炉内で高温に(金属によって異なる、Znの場合は300〜400℃)熱せられます。拡散には比較的長時間を要し、鋼管は焼鈍された状態になり、硬度は低下します。
電線管は、鉄道駅舎の天井を見れば分かるように、内部に電力線や信号線を収容・保護して三次元的に、あらゆる空間に配管します。そのため曲げ施工を容易にするための柔軟性、長期間の使用に耐える耐食性が求められます。
(2)化成被覆
金属の表面に化学反応を起させ、水に不溶の化合物を形成させて被覆することを「化成chemical conversion」といいます。
りん酸塩被覆は、AL、Zn、Mgなどにも行われますが、鉄鋼に対して多量に行われています。この皮膜を単独で使用するのではなく、密着性のよい塗装の下地として多用されています。この皮膜は、MnまたはZnの酸性正りん酸塩水溶液中で煮て鋼の表面にFeおよびMnかZnのりん酸塩皮膜をつけたものです。
アルミニウムの表面に酸化物の皮膜をつくるには、アルカリ中で煮る方法もありますが、酸性浴中でALを陽極として電解する陽極酸化処理、アルマイト法が広く用いられています。陽極酸化直後には、微細な穴が無数に開いていますので、これを封じて耐食性を向上させる封孔処理が必ず行われています。
アルミニウム製品は、軽量であることを活かして、航空機、鉄道車両、自動車、建築関係などの部品・部材に、また、導電性や熱伝導性の良好なことも利用して、電子・電気・自動車部品などに多用されています。
ビルや住宅にカーテンウォールや窓枠サッシュとして用いられるアルマイト製品は、施工時にモルタルなどアルカリ性液に接する機会が多いので、陽極酸化処理後に、水溶性の塗料を用いた電着塗装を施し、酸性雨にもアルカリ性液にも強い耐候性をもたせております。これを、陽極酸化複合皮膜といっております。