防食用のめっきとして、工業的に最も多量に製造されているのは、亜鉛めっきと錫めっきです。亜鉛めっきは、大気や水などの自然環境の中での鋼の防食に、錫めっきは、缶詰用をはじめ缶製品に多用されています。
亜鉛めっきは、鋼よりも卑なめっきの代表で、【図1】に示すようにめっき皮膜にピンホールがあったり、傷ができても、鋼がプラス、亜鉛がマイナスの電池が出来るため、亜鉛の犠牲によって鋼は防食されます。これは、陽極犠牲型の電気防食と原理的には同じです。
従って、ある期間の後に亜鉛めっき層がなくなって、錆びが出始めるので、耐食性は、亜鉛めっき皮膜の厚さに比例します。熔融めっき、電気めっきともに多量に製造されています。
電気亜鉛めっき鋼鈑の代表的なものに、表面処理鋼鈑があります。正確に制御された膜厚と優れた加工性をもった鋼鈑で、時には亜鉛めっきの上層に塗装が施され、自動車ボデー、家電製品、通信機の筐体、建材などに使われています。自動車用では、亜鉛よりも更に高耐食性の亜鉛-ニッケル、亜鉛-鉄などの合金めっきが用いられています。
錫めっきは、大気や水中では、鋼よりも貴で、めっき層にピンホールやキズなどがあって鋼が露出していますと、錫がプラス、鋼がマイナスの電池をつくるため、犠牲防食の効果はありません。室内ではまずまずの耐食性を示しますが、水に触れるような環境では耐食性は期待できません。 しかし、缶詰用として食物と接していると、錫のほうがマイナスとなり、鋼を防食するといわれています。これは、食品中に含まれるある種の成分が、溶解してできた錫イオンと錯化合物をつくるためであるといわれています。現在ではめっきの上に、極めて広範囲に耐食性をもつ合成樹脂によって、コーティングされた鋼鈑が使用されています。 |
アルミニウムは電気めっきすることができないので、熔融めっきか溶射によって行われます。水中では、鋼に対して貴な金属で犠牲防食作用が期待できません。ストーブや煙突など、高温での耐酸化材料として使われています。