順送加工や穴抜き加工等で、抜きかすがダイに詰まり金型を破損する現象を「かす詰まり」と呼びます。ダイの刃先が長い、パンチ・ダイ刃先の劣化等が主な原因です。【図1】に「かす詰まり状態」と示したようなイメージです。
かす詰まりの検出はかす上がりの検出より面倒です。【図1】のかす詰まり状態の部分に作用しているのはパンチです。パンチにかかる負荷による変位はダイハイトに現れます。「この変位を検知する」と示した部分です。ダイハイトの変位をつかむために金型にセンサーを組み込むことは少なく、プレス機械にセンサーを取り付け検知することが多いようです。
【図2】Aに示す位置で検出する方法は、プレス機械の総合すき間を利用して検知しようとするものです。【図2】Bはプレス機械フレームのひずみで検知しようとものです。
このような方法での検出は大きな抜きかすであれば検出に問題がないと思いますが、かす詰まりは小さな抜きかすに発生することが多く、これに伴う変位は小さく【図2】の方法でうまく検出できないことがあります。このようなことから、かす詰まり検出に対する費用対効果の関係から、かす詰まり検出は意外と行われていません。
かす詰まりは抜きかすの落下状態を観察することである程度判断できます。また、かすが詰まることでプレス機械の加工音が変化します。このような状態変化を感じて対処していることが多いのではないでしょうか。熟練した作業者は日常の中の細かな変化を敏感に捉え、かす上がりによる金型破損という大きな事故に至る前に、異常を検知して処置しています。しかし、最近の現場ではこのようなことが分かる作業者が少なくなっていることが残念です。