インデックスプランジャとは移動台などの可動部品の位置決めに用いられ、ピンの位置決めの割り出し用の穴またはV溝にはめあう機械要素部品である。
構造・用途・使用事例
構造
インデックスプランジャは、ノブの押し引きによって、その方向にピンが移動動作を行う。その外観と構造を図1に示す。
図1.インデックスプランジャ外観と構造
- ノブを引けばピンが引っ込み、ノブを押せばピンが飛び出す動作が可能な構造となっている。
- ノブの飛び出し動作は、ばねによるピンの押し出し機能が付加されている製品が多い。
- ピンの直径サイズ、ピンの長さ、ノブ形状など、用途によって各種存在する。
図2.インデックスプランジャの動作
用途
ステージなどの移動機構は移動動作と停止動作を繰り返して搬送作業を行う。位置決めのためにステージを所定の場所に停止する必要があり、それらを行う際にインデックスプランジャを用いる。
使用事例
移動ステージとして直線ステージと回転ステージにインデックスプランジャのピンを溝に入れて固定する事例を図3に示している。直線ステージの位置決めの事例は、ステージの移動台にインデックスプランジャを取り付けている。固定板には溝が加工された割り出し板が取付けられており、溝にプランジャのピンを抜き差しすることにより、その位置決めを可能としている。さらに、回転ステージの位置決めの事例は、固定側にインデックスプランジャを取り付けている。回転ステージの割り出し板には溝が加工されており、溝にプランジャのピンを抜き差しすることにより、その位置決めを可能としている。
図3.インデックスプランジャによる移動ステージの位置決め
選定ポイント
選定のポイントは下記の5点となる。
ピン先端形状の選定
インデックスプランジャのピン先端形状は、主に「球面」「テーパ面」があり、位置決めのための部品の形状に見合った形状で選定する。先端形状が「球面」の場合は位置決め用の相手部品にV溝加工を施す。また「テーパ面」の場合は相手部品に穴をあけて対応する。図4にテーパ面と球面に関する割り出し板の位置決め形状について示している。
図4.インデックスプランジャのピン先端形状と位置決め
先端形状 | テーパ面 | 球面形状 |
---|---|---|
位置決め前の状態 | ||
位置決め後の状態 | ||
内容 |
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動作による選定
インデックスプランジャを用いた直線ステージの位置決めは、直線ステージの移動動作とインデックスプランジャの連動動作が必要となる。動作位置を保持する機能について表1に示す。
表1.リターンタイプとレストポジションタイプの特徴
動作 | 内容 |
---|---|
リターンタイプ | ノブを引くとピンが引っ込み、ノブを離すとピンが飛び出る構造なので、ピンを引っ込める場合、常にノブを引っ張っておかなければならない。 |
レストポジションタイプ | ノブを引いた状態で、そのピンの位置が保持可能な構造で、ピンが引っ込んだ状態を保持したい場合はノブを回転させ、その引っ込み位置を保持する。この時、ノブから手を放してもその位置が保持可能である。ピンを出す場合、ノブの回転動作を行えば、内蔵するばねによって、ピンが飛び出る。 |
またその動作手順を図5に示す。
図5.インデックスプランジャの動作手順
- リターンタイプ
- ①通常は、ノーズが突き出た状態です。
- ②ノブを引くと、ノーズが引っ込みます。
- ③ノブを話すと、内蔵スプリングの力で、ノーズが突き出た状態に戻ります。
- レストポジションタイプ
- ①通常は、ノーズが突き出た状態です。
- ②ノブを引くと、ノーズが引っ込みます。
- ③ノブを引いたまま90度回転させると、ノーズを引っ込めたままロックできます。
- ④ロックを解除するには、ノブをわずかに引きながら90度回転させます。
- ⑤ノブを話すと、内蔵スプリングの力で、ノーズが突き出た状態に戻ります。
形状他による選定
インデックスプランジャはユーザーの製作する移動台との連動動作が必要となるので下記の項目について、特徴のある構造の製品があり、ユーザーはその中から設計する機器に合わせた製品を選定する。
図.6インデックスプランジャの種類
取付形状 | ねじ(ショート) | フランジ | ねじ | ねじ | ねじ |
---|---|---|---|---|---|
ノブ形状 | 標準(キノコ) | 標準(キノコ) | レバー | 標準(キノコ) | 標準(キノコ) |
長さ | 標準 | 標準 | 標準 | ロング | コンパクト |
外観 (写真) |
穴による位置決め
インデックスプランジャのピンを穴にはめ合わせてその位置決めを行う場合、両部品のはめあい操作を容易とする目的で、ピンの先端の形状が複数あるが、穴の形状にも工夫が必要である。特にピンと穴のスキマを0.05mm以下とする場合、穴の入り口を0.5~1mmの面取り構造とすれば、そのはめあい動作が容易となる。
穴形状および荷重
インデックスプランジャを使用する際、ピンの移動方向と直角方向の荷重を支える使い方をする場合は、ピンのせん断荷重が、ピンの直角方向の支持すべき荷重以下であることを確認して使用する。
部品の位置決め法
機械装置における部品の位置出しは加工における工具と被加工物、測定における測定器と被測定部品など多くのプロセスで必要とされる。この位置決めの1つの方法としてインデックスプランジャを用いた方法を示した訳であるが、このほかにもその部品の位置決め法は存在する。図7に部品の位置決め法について代表的な方法を示す。
図.7位置決め法とその特徴
割り出し板 インデックスプランジャ |
2辺3点基準押し付け | 基準穴はめあい | 2V溝1フラット面基準ピン |
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最も汎用的に用いられる位置決めはその簡便さから穴と軸のはめあいである。ただしこの方法では、軸の回転方向の位置決めができないので、軸対称品の中心軸を合わせる場合には特に有効となる。角形状部品についてはその辺を用いたVフラット方式などがあり、機械装置に採用されている。