第153回で、鉄系材料は「生む」と「鍛える」の2段階のプロセスで材料性質を制御できると解説しました(【下図】参照)。この回では「生む」プロセスでの材料組成と材料性質の基本的な関係を解説します。
(1)炭素含有率と鉄系材料
鉄系材料は、おおざっぱには鉄(Fe)と炭素(C)の合金といえます。この炭素(C)の含有比率で鉄系材料は3種類に分類され、それぞれ硬さその他の材料性質が異なってきます。
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(2)含有元素の種類と作用の関係
ここでは、鉄系材料に含有される代表的な元素とその作用効果について解説します。
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炭素(C)、ケイ素(Si)、マンガン(Mn)の3元素は、材料性能を良いほうに作用させる元素ですが、リン(P)とイオウ(S)は材料を脆くさせるなど有害作用に繋がる不純物元素です。このリンとイオウの含有率が少ない鋼が良質といえます。代表的な機械構造用鋼材S45Cの組成は次表です。
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(JIS G4051-1979抜粋)
(3)合金鋼と組成
・ | ばね鋼:C、Si、Mn、Crなどを含有 | |
・ | 高速度工具鋼:C、W、Cr、V、Moなどを含有 | |
・ | ステンレス鋼:C、Cr、Niなどを含有 |