サッカーでは、1人のドリブルか、2人のコンビネーションプレーでマークをはずし、ゴール前でのスピード突破からチャンスが多く生まれます。動きの特徴は次の二つです。
- スピードの変化(低速と高速を自在に)
- 方向の変化
ここでは、上記の1、2の特徴を実現させる非円形歯車とリンクのコンビネーション機構を解説します。(参考資料:(株)長岡歯車製作所;高精度特殊形状歯車ガイドブック)
(1)非円形歯車の特徴
非円形歯車の最大の特徴は、正確で高速な不等速運動を生み出すことです。円形歯車の等速運動を正確に伝える特性とカムの速度・加速度制御特性を合わせ持つ機構要素です。
1対の非円形歯車は、一方が等速回転するとき、他方はピッチ半径の変化に応じて不等速回転を生じます。この性質を利用して、ローコスト・シンプル・小型で信頼性の高い不等速駆動機構が設計可能です。
(2)非円形歯車の応用例
1対の非円形歯車とリンクのコンビネーション機構(【図1】)を紹介します。
■駆動状態の解説・・・等速早戻り直線運動
- 1対の非円形歯車のうち、ピニオン側が等速回転するとき、ギア側は2個の非円形歯車の回転軸間距離の比に応じて回転速度を変える不等速回転となる。
- ギア側の不等速回転運動をリンクにより往復直線運動に変換
【図1】の機構の速度変動特性が【図2】です。
リンク機構のストロークの約70%を等速直線運動に変換できます。LCA(ローコストオートメーション)機構要素としての応用は、等速直線運動を利用する場合と早戻り運動を利用する場合の2種類があります。
工作機械のNC化とコンピュータソフトの発展により、知恵と工夫で非円形歯車を利用できる環境が広がっています。