パンチ
- WPC®処理パンチの特長 1.疲労強度の向上 WPC®処理は0.04~0.2mm程度の微粒子を100m/s以上の高速で金属表面に衝突させるため、パンチの表面付近に高い残留圧縮応力が発生します〔図1〕。この結果パンチの疲労強度が向上するため、刃先折損やチッピングに対して効果を発揮します〔図2〕。例えば図2において、刃先に1,200N/mm2の荷重が繰り返し加わる場合、SKD11では1万回前後で破損する可能性がありますが、SKD11+WPC® 処理の場合、10万回前後に向上します。(図2の結果は実際の打ち抜き試験結果とは異なるため、あくまで目安としてお考え下さい)
- パンチ&ダイの表面処理とは パンチ&ダイの表面処理とは、ショットピーニングや窒化処理による母材自体の表面改質や、その上に薄い硬質膜(コーティング)を乗せることで、耐摩耗性を飛躍的に向上させ長寿命化を実現する技術です。ミスミではお客さまのプレス環境の変化に合わせてさまざまな下地処理やコーティングをパンチやボタンダイに施してきました。お客さまの課題に最適な表面処理を選定することでメンテナンス工数やトータルコストを大幅に削減することが可能です。
- ディコート®パンチとは ディコート®パンチはTDプロセスによって形成されるバナジウム炭化物層の優れた特性を生かした画期的な標準パンチです。表面硬度は3200~3800HV耐摩耗用、耐焼付用パンチとして、その特性を発揮するだけでなく、トータル的なコストダウンが期待できます。ミスミでは(株)豊田中央研究所からライセンスされた「金型標準部品へのTDプロセス処理及び販売」により、パンチの製造からTDプロセス処理まで一貫した工程で行なっている為、従来のパンチと同様、寸法精度の保証されたディコート®パンチを完成しました。TDプロセスはトヨタグループの総合研究機関である(株)豊田中央研究所によって開発された「拡散表面硬化法」です。この方法は特定の元素(炭化物)を拡散、浸透させ、金属の表面に優れた耐摩耗性、耐焼付性を有する表面層を形成することができます。昭和45年、トヨタグループで実用化され、以来プレス金型、冷間鍛造型、鋳造型などの金型、刃物、治具、機械部品などの性能向上の目的に広く用いられています。
- 打抜き打工具に必要な特性は、耐摩耗性、耐圧縮性及び靱性ですが、粉末ハイス鋼や各種表面処理方法の活用により工具の寿命は大幅に延びており、打抜き条件により使い分ける必要があります。 そのためのデータとして、SKD11、SKH51、SKH40(粉末ハイス鋼)の材質のパンチの打抜き寿命、座屈及び抗折試験の結果を以下に示すものです。
- DLCコーティングパンチとは アルミニウム合金を中心とした非鉄金属材料のプレス加工は製品の軽量化と塑性加工のしやすさから広く採用されるようになってきました。アルミニウムは鋼に比べ低融点・低硬度であるためパンチやパイロットパンチの刃先に凝着しやすく、穴径の精度不良やミスフィード等のトラブルを引き起こし、プレス加工現場で問題となっています。 凝着はパンチ(鋼)とアルミニウムとの親和性が高いことにより発生します。パンチ刃先のラップ処理やTiCNコーティングを施してもこの凝着の問題は解決できず、より平滑で摩擦係数の低いDLCコーティングの使用が増加しています。 従来のDLCコーティングは高硬度である一方、パンチ母材に対する密着性が悪く、早期剥離による凝着の発生が課題となっていました。 ミスミDLCコーティングはダイヤモンドの組成に極めて近い非結晶炭素膜であり、従来のDLCコーティングと比較して高硬度且つ高い密着性を有したコーティングです。凝着と凝着物の脱落によるパンチ刃先の損耗に効果があります。
- 概要 ミスミ「HWコート」をはじめとした多種多様な表面処理パンチは自動車業界を中心に多くのお客様にご使用いただき、高い評価をいただいています。 一方で、超ハイテンや厚板ハイテン材の加工などの過酷なプレス加工が年々増え、HWコートを含めた従来品ではコーティングの早期摩耗や剥離が発生するため、パンチのさらなる長寿命化を要望する声がよせられています。 ミスミではハイテン材や厚板の打ち抜きで耐摩耗性向上・長寿命化を実現するAl-Cr系コーティング(RWコート/RXコート)のパンチを用意しています。 ミスミの「RWコート/RXコート」は従来品や他社品に比べ、耐摩耗性と密着性に優れ、パンチの寿命を大幅に向上しており、ハイテン材をお使いの現場にもおすすめです。 今後さらなる超ハイテン化が進むと、金型部品にかかる負荷も増大し「RWコート/RXコート」や他社のAl-Cr系コートでも耐摩耗性不足の課題を感じるケースが増えてくると考えられます。そのような環境の変化に対応するため、ミスミでは「RWコート/RXコート」よりもさらに耐摩耗性の高い「RPコート(Al-Cr系コート+α処理®)」も用意しています。
- 概要 ミスミのパンチに適用されるTiCNコーティングはPVD方式(物理蒸着)によるコーティングです。TiCNコーティングは高硬度、低摩擦係数でパンチの耐摩耗性を向上し、現場のメンテナンス工数削減や製品の品質向上に貢献します。 処理温度は500℃未満のため、焼き戻し温度が500℃以上の母材を硬度低下あるいは寸法変化させることなくコーティング可能です。したがって処理後の寸法・精度が保証されているので、膜厚や変寸を考慮した寸法管理をする必要がありません。
- 打抜き加工中にパンチ刃先の折損やツバ部の破損等のトラブルが発生する場合があります。 これらのトラブルの原因は、標準部品に対する技術データの不足や、打抜き工具の材質及び形状の選択ミスによる場合が多く見受けられます。これは、これらのトラブルを減少するために、工具鋼の疲労強度や、ツバ部の応力集中等を考慮した、パンチの適正使用基準を示すものです。 1.打抜き力の計算 打抜き力P[kgf]
- 欠損,折損,異常摩耗が生じやすい条件 要 因 条 件 刃先に欠損を 生じる可能性 大きな摩耗を 生じる可能性 細いパンチで
- 厚板打抜き用パンチ・テーパヘッドパンチとは 厚板や高張力鋼板などの打抜きでは、パンチの刃先部の摩耗や折損、チッピングの他にパンチ頭部が破損することがしばしば起こります。このパンチ頭部の破損は、パンチ頭部に発生する応力集中と引張り衝撃力が主因とされています。ミスミの厚板打抜き用パンチ・テーパヘッドパンチは、パンチ頭部の形状を変えて強度アップを図ったパンチです。