無給油ブッシュ
- 無給油ブッシュに加わる負荷荷重の事例の計算(その1) 無給油ブッシュに加わる負荷荷重の事例の計算(その2) 無給油ブッシュに加わる負荷荷重計算事例(その1) 図1に示すすべり軸受で支えられた回転軸受に加わる負荷荷重を次の手順で算出する。 図1.回転体の構造図
- 負荷となる支持荷重の算出は許容面圧の考え方で行う。これは無給油ブッシュが軸受面で支持することができる面圧(負荷される最大荷重を投影面積 内径×全長で割った値)が最大許容面圧を超えない範囲で使用することである。計算例として、図1に示すように内径φ50mm長さ50mmの軸受に25,000Nの軸受荷重が加わった場合、その面圧は以下となる。 図1.無給油ブッシュの面圧 10N/mm2(=25,000/(50 × 50))
- 無給油ブッシュはすべり動作によって回転と直線の2軸の動きを行う機械要素であり、この動作を転がり軸受で得る機械要素はロータリーボールスプラインと呼ばれる。図1に両機械要素の軸方向の断面図を示す。 図1.無給油ブッシュとロータリーボールスプライン
- 無給油ブッシュを使用する構造は図1のようにシンプルである。 図1.無給油ブッシュを使用する構造 この機械構造を採用する際、ユーザーが決めなければならない項目は表1に示す。 表1.ユーザー決定項目と内容
- 長期間使用した無給油ブッシュを使用している摺動部で、期待する性能が得られなくなった時、原因は無給油ブッシュの寿命と考えて良い。事例として無給油ブッシュの摩耗による寸法変化が発生し、軸受け隙間が設計値よりも大きくなり、軸受部でガタが生じるトラブルに至った事例がある。摩耗を防ぐことはできないため、ユーザーは推定摩耗量を加味した上で使用する装置または機構の寿命目安を立てることをお勧めする。推定摩耗量の計算式は次の通りである。 推定摩耗量(mm)W = K*1 × P × V × T
- 無給油ブッシュを選定する際、仕様値である荷重と速度を満足させなければならない。また、仕様実現に伴って生じる組立性も合わせて実現可能なることを確認しておかなければならない。ユーザーが事前に決める項目と内容、検討の手順を表1に示す。 表1.金属 種類別特徴
- 一般的な軸受は潤滑油を必要とし、定期的に給油が必要になる。しかし無給油ブッシュは、自己潤滑性がある材質を使うことで、無給油で使用できる。その潤滑の仕組みは、潤滑油を含浸させた素材を使い、摩擦熱によって温められた潤滑油が溶け出して潤滑をするのが一般的である。 無給油ブッシュで使われる材質は、「金属」「複層」「樹脂」に分けられている。「金属」はその名の通り金属だけでできているもの。「樹脂」は、樹脂だけでできているものである。「複層」は、1種類の材質ではなく、いくつかの材質の良いところだけを取るような構造でできている。材質によって異なる特徴と潤滑の仕組みについて、表1にまとめる。 表1.材質別の特徴と潤滑の仕組み
- 無給油ブッシュの材質には金属と樹脂の2種類がある。今回は、樹脂製の無給油ブッシュについて、その特徴やメリット・デメリットについて紹介する。 樹脂タイプの無給油ブッシュとは 樹脂タイプの無給油ブッシュのメリット・デメリット 樹脂材と焼結材の違い 樹脂タイプの無給油ブッシュとは 無給油ブッシュに使用される樹脂は、さまざまなものがある。代表的な樹脂とその特徴を表1にまとめる。 表1.代表的な樹脂とその特徴
- 複層の滑り軸受は、裏金に層状に数層の材料を重ねて使用する構造である。図1は、 F.P.BOWDENが示したものである。 図1.摩擦によるせん断力と材質