製造業の工場に勤務している人を対象に、間接材調達・管理の運用状況やDX化に向けた課題について、アンケート調査を行いました。本記事を含め2回に分けて調査結果を報告します。今回は間接材調達・管理業務の現状について紹介し、次回は業務で重視されるポイントをもとにDX化に向けた課題を考察します。
調査結果サマリ
- 月の購入金額30万円以上が7割
- 自社の購買システムとECサイトの連携率は6割
- 最も購入数量が多い間接材は手袋類
- 購入数量が多い品目は25%が月間購入額30万円以上
- ばらつきはあるが使用部署メンバーによる発注が多い
- 7割近くが在庫を把握できている
- 発注は月1回以上が8割、2週間に1回以上が6割
調査概要
- 調査名:間接材の調達・管理に関するDX化状況調査
- 調査方法:インターネット調査
- 実施日:2024年9月10日(火)~9月17日(火)
- 対象者数:614名
- 対象者条件
- 業種:製造業
- 従業員数:100人以上
- 年齢:30歳~65歳
- その他:所属部門以上の間接材購買金額を把握している人
間接材の調達金額と調達方法
月の購入金額30万円以上が7割
月あたりの間接材の購入金額を質問したところ、30万円以上の金額を回答した人は、工場全体で66.6%、回答者の所属部署に絞ると47.2%でした。従業員規模が大きいほど月に30万円以上購入する比率は高くなる傾向が見られました。
業種別に比較したところ、工場全体でとくに比率が高かったのは輸送用機械器具、化学製品、金属製品でした。所属部署別に絞ると、とくに比率が高かったのは化学製品、パルプでした。


ECサイトの利用比率が高い
間接材の購入先で、ECサイト利用の有無を質問したところ、63.3%がECサイトを利用している旨を回答しました。

自社の購買システムとECサイトの連携率は6割
ECサイトを利用していると回答した人に対して、利用しているECサイトが自社の購買システムと連携しているかを質問しました。その結果、全体で58.5%が連携していると回答し、27.9%が連携していないと回答しました。

さらに、利用しているECサイトが購買システムと連携していると回答した人に対して、利用している購買システムについて質問したところ、自社システムと回答した人が39.8%で、他社が提供する購買システムを利用していると回答した人は56%でした。

ECサイトは購買システムと連動させることが主流になっており、自ら開発するよりも他社が提供する購買システムを利用する人が多いことがわかりました。
購入する間接材について
最も購入数量が多い間接材は手袋類
最も購入数量が多い間接材や消耗品が何かを質問したところ、全体で最も多かったのは手袋(14.3%)でした。続いてコピー用紙(10.9%)、ダンボール(9.3%)、切削工具(8.5%)という結果になりました。

手袋の回答がとくに多かった業種を見たところ、輸送用機械器具(22.7%)、パルプ・紙・紙加工品(22.2%)でした。切削工具の回答が多かった業種を見たところ、金属製品(19.2%)、鉄鋼業・非鉄金属(13.5%)でした。


間接材の購入は業種によって違いはありますが、手袋は特定の業種に限らず共通して購入されることが多い品目であることがわかりました。
購入数量が多い品目は25%が月間購入額30万円以上
最も購入量が多い間接材・消耗品の月々の購入金額を質問したところ、27.9%が30万円以上と回答しました。20万円以上30万円未満は14.4%、10万円以上20万円未満は16.3%、10万円未満は29.4%でした。
工場で購入される頻度が多い間接材はある程度決まっており、一部の品目が全体の購入金額に占める割合が大きいことが明らかになりました。

間接材を購入する担当者について
ばらつきはあるが使用部署メンバーによる発注が多い
最も多く購入する間接材について、商品選定・購入先選定・発注それぞれを誰が行っているか質問しました。その結果、いずれも使用部署のメンバーが行っているという回答が最も多い結果となりました。その割合は、商品選定で36.7%、購入先選定で29.4%、発注で36.0%となっています。
ただしばらつきがあり、使用部署の役職者や、工場の管理部署のメンバー、工場の管理部署の役職者が行っているケースも多い結果となりました。
これらの結果から、購入頻度が高い間接材については、使用部署のメンバーに購入権限を移譲しているケースが多いことがわかりました。役職者が実施しているケースも一定程度見られ、役職者の負担が増えている可能性があります。

在庫の把握について
7割近くが在庫を把握できている
最も多く購入する間接材の品目別でみたところ、おおむね6割以上は在庫数を把握していると回答していました。とくに把握している比率が高かった品目間接材は、テープ(85.7%)、研磨剤(83.3%)、潤滑油・グリース(74.4%)、潤滑剤・防錆剤(71.4%)、接着剤(70.0%)でした。
間接材を在庫している割合は、以下のグラフの通り「把握している」と「把握していない」回答の合計値です。「切削工具」は回答者の100%が在庫している間接材となりますが、そのうち「把握している」と回答したのは54.9%で相対的に把握率は高くありません。他にも「テープ」や「マスク」などの消耗品も100%が在庫しているということになります。

購入規模が大きい間接材は、どこの工場でも在庫管理をしっかり行っていることがわかりました。把握されている比率が高かった品目は、業種に限らず共通して在庫数の管理が行き届いていることが明らかになりました。

発注は月1回以上が8割、2週間に1回以上が6割
最も多く購入する間接材について、およその発注頻度を質問しました。その結果、月1回以上の頻度を回答したのは全体の82.0%、2週間に1回以上の頻度を回答したのは58.0%、1週間に1回以上の頻度を回答したのは36.8%でした。とくに頻度が高かったのはダンボールとマスクで、ダンボールは50.0%が1週間に1回以上、マスクは46.9%でした。その他の品目でも、1週間に1回以上の発注が行われている割合はおよそ3割以上となっていました。 使用頻度が高い品目は、月に複数回の発注が行われることが多いことがわかりました。

まとめ
工場や業種ごとに違いはあるものの、月間で使用する間接材はある程度決まっており、一部品目が購入金額・購入頻度に占める割合は大きい傾向が見られました。商品選定の発注作業は、よく使用する間接材であれば一般スタッフに購入権限を移譲している工場が多いことも明らかとなりました。