3%の食塩水の中に、各種金属を単独で浸したとします。そのとき、比較電極を浸して、比較電極と浸した金属との電位を測定すると、それぞれ異なった電位を示します。この電位を高い順に並べると、一つの系列ができます。 いま、この系列の中からA、B、2つの金属を選択して、その電位を比較すると、AのほうがBより電位が高い場合には、AはBより貴であるといいます。逆の場合は、AはBより卑であるといいます。 いま、【図1】に示すようにA、B2つの金属片を3%食塩水溶液に浸し、AB両金属を接触させると、やがて、B金属が腐食されます。 これは液中で電池が形成されて、Aがプラス極、Bがマイナス極となり、AからBへ電流が流れ、Bから液中へ流れて、Aに戻るという回路ができるからです。腐食は電流が金属から環境に流れ出るところで生じます。すなわちAとBのうち、卑な金属Bが腐食することになります。海水中での電位の順を【表1】に示しました。 【表】から分かるように、海水中では、炭素鋼は銅やステンレス鋼など、炭素鋼に対して貴な金属と接触すると腐食が促進されます。 勿論、炭素鋼は海水中で、炭素鋼だけでも腐食されますが、銅やステンレス鋼などと接触して電気的な回路が形成されると、ここでできた電池によって電流が流れた分だけ腐食が大きくなる訳であります。このような現象を「異金属接触腐食」といいます。 このようなことから、異種金属の接触は避けるべきであると考えますが、実際には構造上の問題から腐食のことだけを考えて作るわけにはいかないので、異なった金属の組み合わせになることが多いのであります。 この場合には、【表1】に示した電位を利用した防食対策がとられています。例えば、炭素鋼に亜鉛めっきを施して使用すれば、炭素鋼の代わりに亜鉛が腐食して、その寿命を長びかせることができます。 |