各種金属の、各種腐食環境における耐食性を【表1】に示します。金属が腐食環境に溶けるか溶けないかの基本は、腐食反応が熱力学的に進行するか、しないかにあり、進行するとすれば、その速度により腐食の速度も決まります。
鉄が塩酸によって溶ける反応は
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であります。また、溶存酸素によって腐食する反応は
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であります。これらの反応が左から右へと進行するのは、これらの系の自由エネルギーが小さくなるからであります。人為的にエネルギーを与えない限り、決して自由エネルギーが大きくなるような反応は起きません。
しかし実際には、不動態皮膜を生成して、この理論の通りに腐食しない場合もあります。【表1】の腐食環境の欄を説明しますと、濃硫酸とはおよそ98%以上、濃硝酸は75%以上のものをいいます。酸性溶液とは、pHで酸性度を測定できる程度の酸性、アルカリ性溶液も、pHで測定できる程度のアルカリ溶液を示しております。
【表1】金属の耐食性
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※注) | 1)溶存酸素や溶存塩素などを脱気したもの、2)塩素イオンなし、3)40%か性ソーダなど強アルカリ、アンモニアを除く(アンモニアは錯塩をつくって溶ける)。 |