めっきの密着性試験方法（JIS H 8504 (1999)より抜粋）

適用範囲

この規格は、金属素地上に施した電気めっきおよび化学めっきの密着性試験方法について規定する。

各種密着性試験法へのめっきの適用例

密着性試験方法のあらまし

1) 研削試験方法

1.やすり試験方法：試料をやすりで削って、めっきの密着性を調べる試験方法である。
2.と石試験方法：試料面をと石で研削して、めっきの密着性を調べる試験方法である。

2) 押出し試験方法

めっき面の裏側から貫通しない穴をあけ、押出し棒を挿入してめっき層を突き破り、破断部のめっきの変化から、めっきの密着性を調べる試験方法である。

3) バレル研磨試験方法

試料を鋼球と一緒にバレルに入れて回転し、めっきの密着性を調べる試験方法である。

4) 引きはがし試験方法

1.テープ試験方法：（後述）
2.はんだ付け試験方法：L形の金具の一方をめっき面にはんだ付けして他方を引っ張り、めっきの密着性を調べる試験方法である。

5) たがね打込試験方法

鋭利なたがねまたは刃物をめっき層と素地の境界に打ち込んで、めっきの密着性を調べる試験である。

6) けい線試験方法

めっき面を針状の引っかき工具で引っかき、めっきの密着性を調べる試験である。

7) 曲げ試験方法

（後述）

8) 巻付け試験方法

めっきされた細線または条などを、一定の直径をもつマンドレルに巻き付けて、めっきの密着性を調べる試験方法である。

9) 引張試験方法

試料に引張応力を与えてこれを破断し、めっきの密着性を調べる試験方法である。

10) 熱試験方法

1.加熱試験方法：試料を加熱することによって、めっきの密着性を調べる試験方法である。
2.熱衝撃試験方法：（後述）

11) 陰極電解試験方法

電解質水溶液中で試料を電解し、発生する水素ガスの作用によって、めっきの密着性を調べる試験方法である。

テープ試験方法

めっき面に粘着性のあるテープをはり付け、これを急速にかつ強く引きはがすことによって、めっきの密着性を調べる試験方法である。比較的薄いめっき、例えば、貴金属めっきなどに適しており、硬く厚付けのめっきには適用しない。
試験用テープは、JIS Z 1522に規定された粘着テープで、呼び幅12～19mmのものを使用する。（テープの粘着力は、幅25mm当たり、約8Nのものを使用する。）
テープが粘着された面を試験の対象面とし、引きはがしたテープの粘着面にめっきの付着があれば、めっきは密着不良とする。

曲げ試験方法

試料を折り曲げて、めっきの密着性を調べる試験方法である。素地金属が2mm以上の場合は適用しない。
試料を曲げ半径4～10mmの当て金を使用してしっかりと挟み固定し、90°曲げて元に戻す。次に試料を反対側に曲げて元に戻す。この操作を、定められただけ繰返し行う。

熱衝撃試験

試料を加熱急冷する熱衝撃によって、めっきの密着性を調べる試験方法である。
加熱炉の炉内を下表の温度に上げ、試料を炉内に入れる。規定温度で一定時間保持した後、試料を取り出し、常温の水中に入れて急冷する。

単位：℃