工業用クロムめっきは、古くから硬質クロムなどともいわれて、クロムめっき皮膜のもつ硬さ、潤滑油保持、耐磨耗性などの機能を活かして、厚さ10〜100umのめっきが多方面に用いられてきました。
工業用クロムめっきの皮膜の特性は、次のようなものです。
(1)高硬度
通常の電気めっきの中では、最も高硬度で(マクロビッカース硬度約1000)、熱処理鋼・窒化鋼などより、はるかに高硬度である。
(2)耐磨耗性
クロムめっきに期待される最も重要な性質で、十分に満足している。
(3)耐食性
塩化物以外の化学薬品に対する耐食性は優秀で、大気中でも安定している。
(4)耐熱性
加熱すると、皮膜に吸蔵されている水素の放出が起こり、硬度は低下する。300℃以上になると急激に低下する。したがって耐磨耗性も低下する。
【表】工業用クロムめっきの利用分野と利用目的の一例
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