防食めっきのもつ特性は、次の通りです。防食めっきは殆ど「単層めっき」です。
めっき皮膜 | 装飾性 | 防食性 | 耐磨耗性 |
その他の特性
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亜鉛Zn | ○ | ◎ | 低磨耗係数、二次加工性、接着性 | |
亜鉛-ニッケル合金 | ◎ | 高耐食性 | ||
亜鉛-鉄合金 | ◎ | 高耐食性 | ||
錫-亜鉛合金 | ◎ | 二次加工性、はんだ付け性、海水腐食防止 | ||
カドミウム | ◎ | 二次加工性、はんだ付け性、海水腐食防止 | ||
化成処理 | ◎ | 接着性 |
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- 二次加工性とは:めっき後、曲げ加工、絞り加工などが可能なこと。
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- (注1)防食の原理
防食めっきのもつ耐食性は、素地金属(鉄鋼)より化学的に活性な金属(亜鉛)をめっき皮膜として使うことによってもたらされます。これは犠牲防食といって、素地より電気化学的に卑な金属を表面に被覆することによって、腐食環境では素地金属より先にめっき皮膜が溶解してくれるからです。つまり、めっき皮膜が素地金属の犠牲になって、素地金属を腐食から守ってくるわけです。
犠牲になる金属としては、古くから鉄鋼に対して亜鉛が、トタン板として用いられてきましたが、最近では亜鉛とニッケル(5〜10%)や鉄(0.3〜0.6%)の合金めっきが用いられ、従来の2-20倍の高耐食性を示しており、薄くても腐食に強い材料として自動車部品などに使われています。 - ※
- (注2)イオン化傾向
(注1)でのべた「化学的に活性な金属」とは、一般にイオン化傾向の大きな金属をいいます。金属のイオン化傾向を大きい順に並べると次のようになります。
K>Na>Mg>AL>Zn>Cr>Fe>Cd>Co>Ni>Sn>Pb>H>Cu>Hg>Ag>Pt>Au
すなわち、鉄に対して亜鉛は、イオン傾向が大きいということです。しかし、これらは絶対的なものではありません。金属濃度など腐食環境が変化すると、順位は違ってきます。