高速度工具鋼は「ハイス」と略して呼ばれます。材料記号はSKHです。
ハイスは、タングステン(W)系とモリブデン(Mo)系があります。
JISでは、JISG4403にまとめられています。
タングステン系には、おおよそ18%前後のタングステンが添加されています。モリブデンは含んでいません。種類としては、SKH2、SKH3、SKH4及びSKH10があります。このシリーズは耐摩耗性が大きいので、切削工具等に多く使われています。
モリブデン系は、おおよそ5%前後のモリブデンと、6%前後のタングステンが添加されています。種類としてはSKH51〜SKH59までの9種類があります。
このシリーズはじん性が高いことから、衝撃を受けるプレス金型に適しています。よく使われているのはSKH51(旧名SKH9)です。
ハイス材は、焼き入れ硬度が63HRC以上入ります。ダイス鋼のSKD11は焼き入れ硬度が62HRC程度です。ダイス鋼で、耐摩耗性やじん性に不満がある小径のパンチ等に、ハイスは使われることが多いです。
■粉末ハイス
ハイスは普通の工具鋼の作り方と同じように、溶けたものを固め作ります。
粉末ハイスは、溶けたものを一度微粉末にして、その粉末を固め、均一で微細な組織を作ります。このようにすることで、耐摩耗性、じん性及び耐疲労性が向上します。64〜70HRC程度の焼き入れ硬さが得られます。
ハイス材で不満があるときに使用されることが多いです。粉末ハイスはJISではSKH40(モリブデン系)があります。多くはメーカーが開発したものが使われています。