【図1】は、プレス機械のストローク送りの関係を示した図です。
プレス機械のスライドは、上死点(0°)位置から下降を始め、下死点(180°)に達します。材料送りは、戻り工程の中間点(270°)位置から材料送りがスタートして、下降工程の中間点(90°)位置で送りを完了します(標準的なタイミング)。送り装置はこのような単純な動きだけではなく、もう少し複雑な動きをします。
材料送りでは、多少の送り誤差が発生します。ブランク抜きのように1ストロークで仕事を完了するものであれば、この送り誤差は問題となりません。しかし、順送加工では、何回かのストロークを経て製品が完成します。このような加工では送り誤差は許されず、修正が必要になります。その役割が金型内のパイロットです。パイロットは材料にあけられたパイロット穴に入ることで、材料を微妙に動かし、送り誤差を修正します。このときに送り装置が材料を掴んでいると、パイロットは材料を動かし修正することはできません。
送り装置はパイロットが動くタイミングに合わせて、材料を開放する必要があります。この動きを「材料リリース(またはリリーシング)」と呼びます。通常は、材料リリースは金型内の材料が持ち上げられた位置(材料リフト位置)に合わせます。材料リリースの終了(材料クランプ)は、スライドが下死点を通過した後です。
材料送り装置の形は2つ代表的な形があります。ロールフィーダとグリッパフィーダです。
【図2】はロールフィーダの原理を示しています。
上、下のロールから構成されています。ロールが送り長さ分の間欠回転をすることで材料を送ります。
間欠回転させる手段としては、1方向クラッチ、様々なカム機構及びサーボモータ等です。
下ロールは通常固定され、上ロールはスプリング等で下ロールに押さえつけられた状態にあります。材料リリースではてこ等を利用して上ロールを押し上げて行います。
【図3】はグリッパーフィーダの原理を示しています。
2つのクランプがあります。送りクランプと固定クランプです。送りクランプは図からわかるように、開→戻り→閉→送りの運動を繰り返します。固定クランプは送りクランプが送り動作の時、開となり、その他は閉じています。そして、材料リリースの時は、送り、固定の両方のクランプが同時に、開き、閉じるの動作をします。
グリッパーフィーダの運動は、エアーを利用してバルブで切り換えで動作させるもの、カム機構等のメカニカル機構で作られたものがあります。
材料送り動作での材料のリリース位置は、材料のリフト量によって変化します。その変化に合わせて、リリースタイミングを調整する必要があります。