【図1】は、穴抜きパンチの各部の名称を示しています。
パンチは一つの材料から作られていることが多いので、各部を分けて考えることが少ないかも知れません。
しかし、パンチを設計するときにはどの様な機能が必要かを知っておくことは、ただ何となく設計しているのと大きな違いとなります。
機能部はパンチの命となる部分です。ここで目的の加工をします。加工形状と同じ形をしています。シャンク部は細いパンチを保持するための部分です。パンチプレートに埋め込まれます。
調整部分は機能部とシャンク部をつなぐ部分です。
抜け止め部分は、パンチプレートに埋め込まれたパンチが抜けないようにする部分です。
【図2】は、パンチの設計の考え方を示したものです。
(a)は、パンチ機能部の断面の大きさが大きいときには、シャンク部と機能部の大きさを同じにしても強度的に十分と考えられるときの形状です。ストレートパンチと呼ばれているものです。この形が作りやすく理想です。
(b)は、断付きパンチと呼ばれるもので、機能部断面が小さく強度との関係からパンチの長さの限界が短いときに、丈夫なシャンク部を用意して、調整部分で形状を整え形をまとめパンチの必要長さ確保したものと考えることができます。
(c)は、更に機能部断面が小さく、弱くなったときの形です。この断面とシャンク部断面の差が大きすぎるのは、パンチの作りやすさ、強度に問題があります。そのため、段を増やして対策しているものです。
【図3】は、パンチの抜け止めの種類を示しています。
(a)のストレートはパンチをプレートに埋め込み、かしめ(コーキング)や接着剤などで固定する方法です。
(b)は「つば」と呼ばれる小さなフランジを作り抜け止めとするものです。丸パンチ等で多く使われています。角や異形状のパンチでは作りづらいものがあります。
(c)はボルトによる抜け止めです。ストレートパンチでワイヤカット放電加工機で加工するようなときによく使われています。
(d)(e)はキー止めの構造です。
これらはパンチ形状や大きさ、パンチ材質などによって使い分けます。このときに、同じ金型であれば、できるだけ抜け止めの方法は統一して、金型の組立や分解が容易になるように考えておきます。