(1)金型の概要
打ち抜き型(ブランク抜き型)は【図1】に示すように輪郭形状を作り出すものです。そのままで製品の輪郭となるものもあれば、曲げや絞りなどの成形製品の展開形状である場合もあります。プレス加工の基本と言えるひとつです。
【図2】は標準的なブランク抜き型の構造を示しています。固定ストリッパ構造の金型です。
金型は、上型(シャンク、パンチホルダ、パンチプレート及びパンチで構成されています)と、下型(ストリッパ、ダイ及びダイホルダで構成されています)に分かれます。
金型は、【図3】に示すように、上型はプレス機械のスライドに取り付けられます。この例では、金型のシャンクをシャンク押さえで固定して取り付けています。比較的小さな金型に用いる上型取付方法です。
下型は、プレス機械のボルスタプレート上にクランプで固定されています。
金型で大事な内容としてクリアランスがあります。
この例では、金型をプレス機械に取り付けるときに、パンチとダイのクリアランス合わせをします。このような金型をオープン型と呼びます。金型をプレス機械に取り付けることを「金型段取り」といいますが、オープン型では作業者の段取り技量によって、クリアランスが変化します。
金型段取りのつど、加工製品の品質が変化する可能性があるとも言えます。
このような問題を対策するため、上型と下型の関係を金型の中で保つようにしたものが、【図4】に示すガイドポストとガイドブシュの使用です。このよう方法で、上型と下型の関係維持をはかった金型が多く使われています。
パンチホルダ、ガイドブシュ、ガイドポスト及びダイホルダをユニット化したものを「ダイセット」と呼んでいます。
そして、このような形の金型を、「ダイセット付き金型」と呼びます。
(2)金型設計の中身
金型は、まず加工目的があります。この場合はブランク抜きです。ブランク抜きに必要な機能を理解し、構想を立てます。
金型は、プレス機械に取り付けて仕事をします。金型の取付方法を検討して、決めます。例では、シャンクと汎用クランプでの固定方法を採用しています。
金型は、段取りを容易にする工夫を盛り込むと同時に、繰り返し使用しても金型で作られた製品に品質変動がないように工夫します。この例では、ガイドポストとガイドブシュを用いて、パンチとダイの関係を保ち(クリアランス変動を防ぐ)、段取りを容易にしています。
金型設計では、必要事項をリストアップして方針を立て、細部の設計にはいっていきます。