穴抜き加工であまり精度を必要としない製品では、作業性のよい固定ストリッパ構造を使うことがよくあります。たとえば、【図】に示すような長い製品の端部に穴を加工するようなときに、固定ストリッパ構造を使うことで作業がしやすくなります。【図】からもわかると思いますが、ストリッパの中に材料を入れ、奥に突き当てた状態で加工をすればよいので作業性がよいのです。
ただし、ストリッパとダイとのすきまが大きいと、材料の金型へのセットは容易になりますが、ストリッピング時にパンチが煽られて破損しやすくなります。すきまは小さい方がいいです。
穴加工の時に材料の押さえが無いので、反りなどの変形がでやすいです。あまり外形に近い穴の加工には適しません。
以上のような使い方の他に、曲げた製品や絞り製品等の穴抜き加工にもよく使われています。このような成形加工品では、穴加工する周囲が丈夫なために、材料押さえを必要としないことが多いためです。
穴抜きは平面だけでなく、曲面に加工する必要もときにはあります。このようなときには穴周囲の変形も少なく、ストリッピングだけに気をつければよいことも多くあり、固定ストリッパ構造でOKとなることも多いのです。
穴抜き加工の基本は材料を押さえて穴加工することですが、条件等によって簡易な構造として、材料を押さえなくても問題のない製品があります。その判断によって金型の作りやすさ、コストが変わりますから注意したいです。