小径穴抜きとは概ねφ1.0mm以下の大きさをイメージしています。そしてφ1.0mm程度の穴は材料板厚が1.0mm前後を想定しています。
パンチの設計
穴抜きパンチは保護のために【図1】に示すように、ストリッパでパンチ先端をガイド(パンチガイド)してパンチの破損を防ぐ対策をしています。
パンチ寸法のPとBの関係はB≦10Pが最大長さの目安です。
小径パンチになるとB寸法が短くなり、パンチガイドがむずかしくなります。
対策として、【図2】に示すような2段パンチを採用します。P上のd寸法はd≦P+2t程度とします。その理由はパンチが材料から抜けるとき穴に変形を起こさせないためです。
パンチ先端のガイドの長さは、
ガイド長さ ≧ パンチ径
とします。
また、パンチとストリッパ穴とのすき間は片側で0.003以上とします。
その理由は油膜切れを起こさせないすき間の最少の目安が0.003なのです。パンチ側面をラップしてきれいにすることも行うとよいでしょう。
ダイの設計
ダイの設計ではダイ穴に抜きかすをためないようにすることがポイントです。
理由は、抜きかすを押し下げる力が意外と大きく打ち抜き力が意外に多くあるからです。
■【図3】参照
対策として、刃先長さ(A)を出来るだけ短くします。出来れば抜きかすを1枚づつ落とすようにします。
また、かす落とし穴(d)はP寸法に対して、あまり大きくしないことが原則です。この時、d寸法を小さくすると同時にダイの長さ(L)は短くします。詰まり対策です。
クリアランスは通常より大きくします。抜き加工力を少しでも下げるためです。
小径穴加工では、通常のクリアランスで加工すると、せん断面が長く抜かれます。これは穴抜きかすが潰されているためです。