ストリッパボルト、コイルスプリング及びスクリュープラグは密接な関係があります。それぞれの部品に関係する穴寸法を整理しておくと、金型設計や金型加工が楽になります。
【図1】がその内容をまとめた例です。解説します。
ストリッパボルトでは、軸寸法(D)と頭部寸法(A)及びねじサイズ(M)がポイントです。金型のプレートサイズとのバランスから、ストリッパボルトの軸寸法とねじサイズを基準に選択します。その際に、使いたいコイルスプリングの径があれば考慮します。その後は、頭部寸法との関係からコイルスプリング径やスクリュープラグ寸法が決まります。
頭部寸法(A)とコイルスプリング径(SP)は、ほぼ同じ寸法がよく、極端にSP寸法が大小に変化するのはよくありません。
スクリュープラグはM10以上はねじピッチが1.5mmに統一されています。これをポイントにしてA寸法+2mm以上で最小のスクリュープラグを選択すれば、ストリッパボルトとスクリュープラグの最小の関係がつかめます。【図1】はこの考え方で作られています。スクリュープラグ下穴(d2)寸法は、スクリュープラグ径-1.5mm(ねじピッチ寸法)として算出しています。SP寸法はD2穴に入る最も大きい寸法を選んでいます。
このように、部品と穴の関係の決め方を統一すると関係部品も決まってしまいます。このような関係を部品ユニットとして整理すると、金型設計が楽になります。
注意事項として、軸Dが入る穴(D1)は【図1】に示す程度の寸法がよいと思います。軸Dが研削され精度よく仕上げられているストリッパボルトがあります。この軸Dをガイドにしょうと穴寸法を「中間ばめ」程度に指定した場合、ストリッパボルトを締めると軸が穴にせって、動きが固くなることがあります。この原因は、ストリッパボルトのねじ部分とタップ穴の関係にあります。タップを曲がりなく垂直に加工することが難しいために起こる現象です。このようなストリッパボルトの使い方は考えない方がよいです。