固定ストリッパ構造の金型では、パンチプレートでパンチの位置と垂直を作り出します。重要な部品となります。可動ストリッパ構造では、パンチプレートの厚さはパンチ長さの30%程度あればOKですが、固定ストリッパ構造のパンチプレートはもう少し厚くします。
パンチの組み付け方向にも注意します。つば付きの丸パンチ等ではパンチ先端から組み立てなければいけませんが、ブロックパンチ等では、シャンク側からパンチプレートに差し込みます。
細かな点について、いくつか示します。【図1】(a)で示すような標準的な大きさのパンチやパイロットでは、パンチの入る穴はH7が推奨されています。実際には、もう少しゆるい穴にしていることも多いと思います。パンチの数が多く圧入が強いと、圧入によってプレートが反ってしまうことがあるからです。
「(a)標準的な大きさ」で示した図では、つばの付け根に付けられたRを逃げるため面取りで逃がし、パンチが浮き上がらないようにします。パンチ端面とプレート面を合わせます。凸にならないように注意します。
「(b)小径パンチ」で示した図は、パンチのシャンク径に対してプレート厚さが厚すぎるときを示したものです。径の2倍程度(長くても3倍)を精度穴として、その後ろを逃がします。このようにする方が、プレート加工も楽で、パンチを組立たときの精度もいいです。
「(c)角逃がし」、ブロックパンチの組み付けでは角部の干渉があり、組み付け作業を阻害します。そのための処置が角逃がしです。図に示したように、穴側で逃がす方法とパンチ側で逃がす方法があります。穴側の逃がしを暗黙了解事項としてワイヤカットする取り決めをしている事業所もあります。
「(d)複雑形状の処理」は図からも分かるように、パンチ形状に忠実にパンチプレート穴を作る必要はなく、ポイントとなる部分を押さえて、穴加工と組立を楽にする工夫をします。この時に、パンチの組立方向を決めるフールプルーフを施しておくことも忘れないようにします。