ストリッパガイドのプレート加工誤差や接着隙間の影響
金型製作時、パンチプレートとストリッパプレート及びダイプレートの加工誤差・ガイドブシュの接着隙間などが影響し、パンチを挿入する際に芯ずれが生じる場合があります。このような状態でパンチを挿入すると、芯ずれによりパンチは変形し、折損や異常摩耗の原因となります。
それらの原因を解決する為には、以下のような方法が考えられます。
対策方法
I パンチガイドブシュの穴を拡大する
パンチガイドの穴を拡大すると、ストリッパプレートは被加工材のストリッピング機能のみとなります。パンチガイドとしての役割がなくなりますので、クリアランスの小さい薄板の打抜きや高精度金型には適しません。
II パンチガイドを入れ子状にして調整する
調整が容易になりますが、高コストになります。
III ダイ側を調整する
ブロックダイにライナーやシム等を用いて芯ずれを防止します。
IV 基準ピンによって調整する
基準ピンを用いて、ロックタイト接着隙間のばらつきを調整します。
V ストリッパガイドブシュの取付穴精度を微小隙間にする
加工誤差のない高精度金型の場合において、接着隙間による芯ずれを防止する為には取付穴とブシュのクリアランスを微小にする方法がありますが、この場合ブシュの同軸度・真円度が重要となりますので、精密級のブシュ(VG・TGシリーズ)をご使用ください。また、接着強度を上げる為には追加工のDRCを用いるのが最適です。
ブシュを圧入にする方法もありますが、圧入は内径収縮による歪みの発生、取付強度の弱さなどの理由から高精度の金型ではお薦めできません。
ストリッパガイドピンの組立
ヘッド付タイプ
- ヘッド付タイプのガイドピンは摺動部を導入として圧入するため、圧入のミスが少なく直角度が出しやすくなります。(図1)
- 圧入後にプレート面から出ているツバ部を研削して、プレート面と同一にするのが理想です。(図2)(TG・VGシリーズはツバ厚公差が5のためザグリ深さにて調整することが可能です。SGPH・SGOHは追加工TKCによりツバ厚公差を向上することができます。)
- ツバ部に隙間があると使用時の僅かながたつきが、直角度に悪影響を及ぼします。(図3)
ストレートタイプ
- ストレートタイプのガイドピンの組込をする場合、傾いたまま圧入してしまうと、摺動時に直角度不良による焼付きを起こす場合があります。(図4)
- ガイドを用いて圧入すると直角度は安定します。(図5)
ガイドピンの端面をボルトで固定する場合、端面の直角がでていないと、ボルトの締付けにより直角度不良が発生します。(図6)
(SGPN・SGONは追加工TGCにより直角度を向上することができます。TG・VGシリーズは端面研磨済みです。)
ストリッパガイドピンのガイド長さ
パンチプレートのガイドピンの圧入部長さ
直角度を出す為にはガイドピン径の1.5~2倍の厚みが最適です。(図7)
T≧D, T=(1.5~2)D
ストリッパプレートのガイド長さ
ガイドの安定性や焼付きを考慮するとガイドピン径の1.5~2倍の厚みが最適です。(図8)
T≧D, T=(1.5~2)D