医療器材用プラスチックには、高い安全性や信頼性の他にも使用用途を満足させるために、様々な角度からの物性が必要になります。例えば、下記のような物性が医療器材の備えるべき特性として必要になってくるのです。
1. | 硬さ(柔らかさ) 注射針のように硬度が高い必要がある器材もあれば、薬液を搬送するチューブのように、柔軟性に富んでいることが必要な器材もあります。 |
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2. | 耐衝撃性 外科手術に使用される器材や道具を固定するために使用する器材では、衝撃荷重が作用する場合もありますので、耐衝撃性が十分でなけらばならない場合があります。 |
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3. | 透明性 血液や体液、薬剤の流動状態を視認できる必要がある器材では、透明であることが重要になります。また、完全に透明ではない半透明な特性が要求される器材もあります。 |
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4. | 気体透過性 薬液や血液を流動させる器材では、外部の空気との間で気体が透過しない特性を有する必要がある場合があります。また、逆に酸素を透過させやすい特性が必要な場合もあります。 |
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5. | 水蒸気透過性 薬剤を保存するケースなどでは、水蒸気を透過しにくい素材が必要になります。いわゆる薬が湿気ることを避けたいためです。 |
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6. | 比重 軽量であることが望ましい場合と、重量があることが必要な場合がそれぞれあり得ます。 |
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7. | 耐熱性 器材の使用環境や煮沸消毒の関係から、耐熱性が要求される場合があります。 |
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8. | 耐薬品性 薬剤を充填したり、通過させる際にプラスチック自身が化学的に分解したり、添加剤が溶出しないことが必要になります。これは電子産業や自動車産業の用途に比較して、厳格に管理されていなければなりません。 |
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9. | 薬物吸着性 薬液等を長期間保存する場合には特定の薬物を吸着してしまう場合がありますので、使用環境によって配慮しなければなりません。 |