1.射出装置
プラスチック射出成形機の射出装置は、射出プランジャーやスクリューがシリンダー内を前進して金型内へ溶融したプラスチックを射出する装置です。
射出装置の性能は、射出率(1秒間に射出される溶融樹脂の体積、cm3/s)や射出速度(プランジャー前進速度、mm/s)で表されます。
スーパーエンジニアリングプラスチックの一部では射出率が大きな射出装置を使用しないと成形品の品質が損なわれてしまう素材があったり、逆に低速で安定した射出ができる射出装置が適しているプラスチックもあります。
どのような射出装置が適しているのかは使用する成形材料の種類に密接に関連していると言えます。
射出装置の先端部にはノズルが設けられていて、ノズルの最先端部は通常は球状に加工されていて、金型のスプルーブシュの球面の座に密着できるようになっており、射出時の樹脂漏れがしないように配慮されています。ノズルにはいくつかの種類があり、オープンノズル、シャットオフノズル、ニードル弁付きノズルなどがあります。
2.型締め装置
型締め装置は、金型の射出成形機への取付と金型開閉を担当する装置です。溶融したプラスチックを金型内へ射出している間は金型が開かないように高圧で金型を締め付けていることが必要になります。一般に射出成形機の大きさは、型締め力で表現されることが多い。例えば、「型締め力160トンの成形機」という感じです。
型締めの方法は下記の2種類に大別されます。
- 1)
- 直圧式
- 2)
- トグル式
直圧式は、型締め用の油圧シリンダーを介して可動側プラテンを作動させる方式です。この方式ですと、金型を広範な面積で一定の圧力で締め付けることができるので、投影面積の大きな成形品用の金型には適しています。また、型締め力の調整も平易であり、金型の厚さが変わったとしても金型取付の作業は面倒ではないメリットもあります。
トグル式は、トグルリンク機構が伸縮するときの型締め力を用いる方式で、型開閉の速度が速く、サイクルタイムの短縮に効果がある反面、型締め力の調整を金型ごとに設定作業をする必要があり段取りに時間がかかります。
型締め装置には最近では金型保護装置が設けられており、ある一定の型締め工程までは低圧で型締めを行い、万が一、金型内に異物やランナー等を挟んでしまったときには高圧型締めを停止させて金型の破損を防止するセンサーを使用した保護装置を採用している機械もあります。
型締め装置には、通常、成形品の突き出し装置も設けられており、可動側からノックアウトバーが前進し、金型のエジェクタプレートを前進させて成形品を突き出す構造になっています。