金属材料を引張試験すると、引っ張る荷重とひずみ変形の間には一定の関係があることが実験的に証明されています。
専門的には、この関係を示す図を「応力ひずみ線図」と呼んでいます。
応力ひずみ線図は、金属材料によって一定であり、この線図から得られるデータを基にして力学計算を行って、強度計算により部品の安全性や変形可能性を推測することができます。
【図1】に応力ひずみ線図の概念図を示します。
図中の各ポイントは、下記のような意味を示します。
■P点:比例限度
比例限度とは、応力とひずみが一定の比例関係にある限度のポイントを指します。
比例限度以下の応力では、力を取り除くと完全に元の状態に材料のひずみは復元します。
機械部品の設計をする場合には、比例限度を許容応力の基準津強さとして採用する場合が多いです。
■E点:弾性限度
弾性限度とは、応力とひずみが弾性変形にある限度のポイントを指します。
■S点:降伏点
降伏点とは、降伏(永久変形が明瞭に現れる現象)がはっきりと現れる点のことを指します。
降伏点付近では、線図が不安定に上下する場合があり、上降伏点と下降伏点と称する場合もあります。
■B点:引張強さ
引張強さは、最大の応力を示すポイントを指します。
引張強さは材料の強度を判断するための指標になりますが、実際の機械部品の設計では永久ひずみが発生してしまっていますから、引張強さのみを目安にして強度計算することは危険です。
■Z点:破断強さ
破断強さとは、材料が破断したときの強度になります。