熱処理とは、素材や化学薬品などに熱エネルギーを与えることで化学反応を制御し、素材特性のコントロールや接着接合、不純物の除去などの処理を行うことです。金属材料の場合は、融点以下の適当な温度に加熱し、冷却速度を加減することで所要の組織や硬さなどの性質を造り込みます(焼入れ、焼戻し、焼なまし)。
・熱処理用の装置には、手動式のバッチ式熱処理炉とコンベアなどの移載装置とトンネル炉を組合わせた自動式処理炉があります。
・手動式処理炉は多品種少量対応や研究開発用に適していますが、開閉扉を開け閉めして作業する事と、炉内の空気流による熱分布の不均一さの理由で、温度分布精度はあまり期待できません。
・一方、自動式熱処理炉は、コンベア速度とトンネル焼成炉の入口・中央部・出口の温度分布を制御することで、高精度に安定した熱処理が可能です。ただし、電源を切った後では、熱処理炉の温度が安定するまでかなりの時間がかかることや電気代がかかるなどの欠点もあります。
・以上のように、高精度で安定した熱処理が必要な場合は、自動化手段が大きな効果を出します。
・更に高精度な熱分布が求められてくると、処理炉に入れる熱容量(何個の処理製品を投入させるか)や、前工程での予備加熱による温度カーブの制御などを行います。