ワーク搬送コンベア(【写真1】)の、移動中の位置決めプッシャの機能は、次工程での作業のためにワーク位置や姿勢を整えることです。特に、次の工程が自動化・半自動化機構を用いる場合は必要です。
1. | ピック&プレースユニットによるワーク搬出 | |
2. | 画像処理装置等による自動外観検査 | |
3. | 半田付け装置、樹脂塗布装置などの位置決め精度を要する作業の準備工程 |
(1)位置決めプッシャ材料選定の着眼点
事例の装置では、位置決めプッシャをエアシリンダ(エアスライドテーブル)を用いてワークに押付け、コンベア上での位置と姿勢を整えさせています。プッシャ材料選定の着眼点は、下記が挙げられます。
1. | 軽量・・・・駆動アクチュエータへの負荷を小さくするため | |
2. | ワークにキズ・打痕などの欠陥を生じさせない | |
3. | 耐磨耗特性 |
(2)位置決めプッシャ材料の選定と特徴
装置に採用する材料は、大きく次の様に分類できます。
●金属・・・・鉄系、アルミニウム系、銅系
●非金属・・・プラスチック系、セラミック系
上記(1)の材料選定の着眼点内容から、ここではプラスチック材料が選定候補となり、そのなかでも(1)−3. の特性から(汎用)エンジニアリングプラスチックが対象となってきます。動摩擦係数が小さく、耐摩耗性が良いMCナイロン材を選定しました。
プラスチック材料を機構部品の一部として設計する場合、一般に使用する鉄系材料に較べて材料強度(引張り強さ、圧縮強さ、硬さ、靭性)が弱いために、ボルトの締付け穴部などの集中応力がかかる部分は、肉厚を大きく設計しなければなりません。