概要
- 機種切り替えを伴う顕微鏡での精密位置決め作業において、顕微鏡のテーブル上で位置決め治具の設置位置が簡単に調整できる精密位置決め用治具構造の解説を前号で行った。ここでは、この顕微鏡との直角精度の簡単な調整方法とそのための直角ゲージについて解説する。
解説
- 2個の部品の精密位置調整に顕微鏡を用いて行う場合の精密位置調整治具ついては別記事にて解説した(図1)。多機種化対応の場合は、機種毎に専用の位置決め用プレートを製作することで短時間に機種切り替えが可能。
- この場合、顕微鏡の光軸と機種毎の専用位置決めプレートの基準面との直角精度を正確に調整しなければ精密位置決めの精度は保障できない。
- 専用位置決めプレートには、3個の精密調整ねじによる平行調整機構を持たせており、この3個の精密調整ねじの調整で顕微鏡の光軸との直角精度の調整が可能。
- 図2に専用位置決めプレートの基準面と顕微鏡光軸との直角精度を調整するための直角ゲージを示した。このゲージは、カーソル線が描かれた2枚の平面ガラスを一定距離だけ離した位置で保持されており、2枚のカーソル線の原点を結ぶ仮想線と直角ゲージ底面とが垂直となるように作られている。
- この直角ゲージを専用位置決めプレート上に乗せ、顕微鏡のZ軸を移動させ2つのカーソル原点が同一点となるように専用位置決めプレートの3個の調節ねじを調節することで、顕微鏡光軸と専用位置決めプレートの直角精度を簡単に調整することができる(図3)。
注意点など
- 顕微鏡には光源ランプが搭載されているが、この光源ランプは熱源となるため、光源ランプのON/OFF状態で顕微鏡本体の熱変形の状態が変化する。したがって、専用位置決めプレートの直角精度調整は、光源ランプをONにして一定時間が経過し、顕微鏡本体の熱変形が安定した状況で実行することが好ましい。