概要
・精密な位置決めを実現する前提条件の一つとしてワークの確実な把持が必要となる。ガラス基板やシリコンウェハなどの薄板状ワークは機械的な把持機構の採用が難しいためテーブル上面での真空吸引法が多用される。この方式の場合、ワークをテーブルに移載した時点での薄板ワークの平坦状態で真空吸引が効かない場合がある。採用ワークの平坦精度の規格化、または、機構的にワークを押し付けて真空吸引する対応で安定した真空吸引を実現できる。
解説
・ガラス基板やシリコンウェハなどの薄板状ワークの場合、基板前面に印刷処理を行う工程の装置では真空吸引によるワーク把持の方式が多く採用される(図1)。
・これは、薄板状ワークのために機構的なクランプ方式の採用が難しいことと、印刷工程での品質安定化に必要となる環境実現(温度、圧力、気流等の制御のし易さなど)が行いやすくなるため。当然、機構をシンプルにできるので装置の低価格化やタクトの短縮などコスト面の利点もある。
・この真空吸引方式の欠点として、吸着させるワークの初期の平坦形状のバラツキの影響を受けやすいことが挙げられる。
・板厚バラツキ吸収のための位置調整機構は次のような特徴が求められる。
・図2は吸引ワーク(ガラス基板)の平坦形状と真空吸引の効き具合の解説図である。
・真空吸引法の場合、吸引ワークの外周側がテーブルに接する平坦形状(凸状変形)ならば真空吸引作用は働きやすい(図2-a))。
・反対に、吸引ワークの外周側が上に沿っている平坦形状(凹状変形)の場合は、真空吸引作用が効きにくい(図2-b))。
・この吸引ワークの平坦形状の影響を回避する対策として、次の2つが挙げられる。
1.吸引ワークの初期の平坦形状の規格を採用する(図3)。→規格以上の凹状変形の投入回避。
2.真空吸引の前に上面から吸引ワークをテーブルに押し付ける機構を採用する。(投資を要す)
注意点:
・薄板状ワークの平坦形状はそのワークの薄板形成プロセスの影響を強く受けている。ガラス基板やシルコンウェハの場合は、板厚の造り込みや両面の表面粗さ実現のための研磨工程での両面の残留応力のバランスの差などが要因となりやすい。このため、根本的な平坦品質の安定化には、加工プロセスの管理まで必要となる。