概要
ガラス基板を加工テーブル上で真空吸引を用いて把持した状態で、印刷や各種の加工を行う場合、真空吸引の箇所で印刷不良や加工不良が生じやすい。この原因とその対策法について解説した。
解説
・板厚が薄いガラス基板などに色々な溶剤を印刷する場合や機械的に加工する場合には、加工テーブル上で真空吸引法を用いてガラス基板を把持する場合が多い。しかし、真空吸引溝のデザイン(溝形状、溝のサイズ、他)による加工不良が生じることがある。ここでは、真空吸引溝のデザインと加工不良の関係と、その機構的な対応策を解説した。
(1)生産ラインの解説
・板厚が薄いガラス基板に対する色々な加工処理は、加工テーブル上にガラス基板を真空吸着して加工を行う。この場合、テーブルに対するガラス基板の位置決めは、ガラス基板の外周基準辺に対しテーブル基準面との位置だしを行い、この両者の位置関係を保持してガラス基板をテーブル上面に載せ、真空吸引で把持する。
・色々なサイズのガラス基板に対して真空吸引が出来るように、テーブル上面に色々な形状の真空吸引用溝が形成されている(図1)。
(2)加工テーブル上での加工不良の要因解説
・加工テーブル上に置かれたガラス基板は、真空吸引によりテーブル上面に吸着される。この真空吸着力は、真空吸引溝の部分で局所的に吸引されているため、板厚が薄いガラス基板の場合には、真空吸引溝が大きいとガラス基板がその部分で僅かに凹状に変形する。
・この僅かな凹状変形が、印刷処理時に印刷塗膜量の変動を局所的に生じさせたり、機械加工時に直線加工の曲がり不良を生じさせる(図2)。
(3)真空吸引把持法による加工不良の対策
・ガラス基板の板厚による基板剛性に対して真空吸引溝が大きい(溝幅が大きい)場合に、真空吸引力により溝部が局所変形を生じる。
・したがって、この不良の対策は、真空吸引力に対してガラス基板の変形が無視できる程度に真空吸引溝の幅を小さくすることで対処できる(図3)。
・真空溝方式ではなく、テーブル上面の部材をポーラス構造を持つセラミックス材などに置き換えることで根本的な対策が可能となる。