ピンを用いた位置決め法の要点を解説します。
■位置決めピンの使い方
- 通常2本のピンを用いて、治具側に対してワークを位置決めする。
- 2本のピンの一方は円筒外形を基準とし、他方のピンは円筒外形のうち両穴を結ぶ中心線近傍を切り欠いて、挿入/排出の作業性と位置決め精度を両立させる(【図1】参照)。
- 2本のピンの高さに違いを持たせ、高い方のピンへの挿入で予備的な位置決めを行い、残りの低いピンへの挿入で正確な位置決めを行う(【図1】参照)。
- ピンの先端形状は作業性(例:挿入のし易さ)、品質維持(例:キズをつけない)への対応から、円頭形状、円錐形状、C面取り形状などがある(【図2】参照)。
- 挿入頻度の多い場合は、位置決めピンの先端にはかなり大きな挿入ガイド形状のピン(先端球形状+円錐形状)を選定。
- 先端テーパ角はワークが軽く、手作業の場合では60度以下と大きいが、ワークが大きく作業しずらい場合や自動機を用いる場合などでは10〜30度が多用される。
- ピンのはめあい部の長さは、2個の対象部品の精度(平行度)と作業頻度で設定する。
■例*平行度が悪い部品同士:はめあい部長さは短くする。
*挿入頻度が多い場合:はめあい部長さは長くする。
*自動機の場合:はめあい部長さを長くし、かつ、はめあい接触長を短くするように逃げを持たせる(【図3】参照)
- 位置決めピンと挿入する位置決め穴はともに磨耗して精度が劣化するため、交換可能な固定法を採用する(【図4】参照)。
- 複数本のピンの側面でワーク外形の位置決めを行う方法もある(【図5】参照)。