概要
・機種切り替えを伴う顕微鏡での精密位置決め作業において、顕微鏡のテーブル上で位置決め治具の設置位置調整が簡単な精密位置決め治具を解説する。精密位置決め治具のベースプレート形状を標準化させ、このベースプレートに3か所の平行調整機構を持たせることで短時間に高精度な顕微鏡位置決めの機種切り替えが可能となる。
解説
・2個の部品の精密位置調整に顕微鏡を用いて位置決めを行うことがある(図1)。
・機種切り替えが伴う作業の場合、顕微鏡の光軸と精密位置調整治具との直角精度の調整が難しい。
・顕微鏡テーブル上に、機種切り替えが簡単な精密位置調整治具を装着できる構造とすることで、高精度位置決め作業を短時間に切り替えできる。
・顕微鏡テーブル上での精密位置調整治具が持つべき構造特徴は次の項目である。
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・項目1の実現構造案を図2に示した。
ア)精密位置調整治具の外周側に3個の精密ねじ調整機構を持たせる(図3)
イ)精密ねじ調整部品の先端には同軸精度を持たせて鋼球を接合(接着)する
ウ)精密調整ねじの位置固定のための締結構造を同位置に持たせる
・顕微鏡のテーブル側の治具の3個の精密調整ねじの位置に対向する箇所に、精密ねじ調整機構の裏側にある鋼球の固定用ネストを設ける(図2、4)
・この顕微鏡テーブル側の3か所の鋼球固定用ネストのデザインを工夫することで、精密位置調整治具の設置位置の再現性が得られる(図4)。鋼球固定用ネストは、円錐型、溝型、平面型の3種類を1セットとして使うことで、3個の鋼球はガタがない状態で位置決めできる。
注意点など
・精密ねじ調整機構と顕微鏡テーブル側の鋼球固定ネストにより治具の設置位置の再現性は高精度に得られるが、精密な位置決め精度を得るには、この治具交換作業後に顕微鏡のカーソル基準線と治具基準との微調整を行うのが好ましい。