ここでは熱処理とLCA(ローコストオートメーション)設計の関係を単純化して解説します。
(1)熱処理とLCA設計の関係
LCA(ローコストオートメーション)や自動機、一般機械などの設計の段階では、架台や構造部品の強さやユニット剛性、しゅう動部の磨耗などの課題を部品設計と材料選定・熱処理で解決してゆきます。
ここで構造強度や剛性の性能は設計時に部品の形状とサイズの決定で主に対処します。さらに付加的に設計部品の素材強度の向上を目的に熱処理を追加します。一方、しゅう動部の耐磨耗設計は、装置の構成部品(機素)の表面の機能向上(磨耗対策、表面変形防止、他)のために熱処理を行います。
したがって、LCA設計の熱処理には、1. 部品全体の熱処理 と 2. 部品表面の熱処理 があります。
1. の熱処理法は「ズブ焼き」、2. の熱処理法は「肌焼き」と現場では呼ばれます。LCA設計者は部品の全体熱処理と表面熱処理の違いを理解しておきましょう。
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(2)「鍛える」プロセス(熱処理)の概要
金属の変態点(組織が変わる温度)以上に加熱した材料を冷却して硬化させるプロセスを「焼入れ」といます。この焼入れは、主に炭素の含有率で焼入れ効果が変化します。したがって、焼入れ効果は1. 素材による効果 と 2. 熱による素材結晶の挙動変化(変態点以上に加熱し冷却)の作用があります。
■素材と熱処理効果の例
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部品全体の熱処理(ズブ焼き)と表面の熱処理はそれぞれ次のようなものがあります。
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