代表的な熱処理プロセスとその効果を解説します。

(1)焼ならし(Normalizing)の効果

 鉄の素材を工作機械である寸法に加工すると、加工時の熱や加工抵抗による機械的な力により加工表面の鉄の組織が不均一(結晶粒が大きくなる、引き伸ばされるなど)になり、その結果、表面が硬くなったり(加工硬化現象)、残留応力が生じるなどの影響が残ります。「焼ならし」プロセスは、このような表面の不均一な結晶粒を微細化させ、機械的性質(靭性など)や機械加工性を向上させることが狙いです。

(2)焼ならしの熱処理プロセス

 標準的な焼ならしプロセスを【図1】に示しました。

【図1】代表的な焼ならしプロセスの例

(1)加熱プロセス

 加工時の熱や力による影響で生じた表面の不均一な結晶粒が均一な微細結晶に変わるように、金属の変態点(金属組織が変わる温度)よりも30~50℃高温の条件を加熱温度で選定。

(2)加熱プロセスの保持時間

 大きさや加工後の状態、金属材料・材質で異なりますが、一般的には20mmの厚さに対して30分を目やしに加熱保持時間を設定。

(3)冷却プロセス

 大気中での自然冷却が一般的。

 全体のプロセスは、変態点以上の温度に加熱し、オーステナイト組織に変えた後に、空気中で放冷する処理法です。