すき間腐食は、鉄鋼その他各種金属に生じますが、ステンレス鋼、アルミニウム合金、チタンなど不動態皮膜を形成する金属にも生じます。
金属材料を使った構築物は、部材の同じ金属同士の重ね合わせ部、異種金属の重ね合わせ部、金属と非金属との重ね合わせ部などの接合部、スケール・腐食生成物・異物等の付着物下と素地のすき間部、コーティング膜や剥離下のすき間など多くのすき間があります。
ここでいうすき間とは、日常会話に登場するすき間とは違い、非常に小さなすき間で、1/100ミリ程度のものを指しています。このようなすき間にも水などの液体は侵入します。そして、一旦侵入した液体は外部とほとんど交換されませんので、その酸素濃度は他の部分より低くなり、酸素の濃淡による酸素濃淡電池(通気差電池)が形成され、酸素濃度の低いすき間部が腐食されます。【図1】に、金属板上の付着物によるすき間部形成例を示しました。
すき間部では、アノード反応が、外部表面ではカソード反応が進み、アノード反応で生成した金属イオンは、腐食生成物になります。ステンレス鋼の装置にすき間腐食が発生している場合、本体電位とすき間部との電位の差は0.2V(200mv)以上にもなるといわれています。
参考までに、【表1】に海水中の金属や合金の腐食電位を示しました。この表の上位のものは錆び易く、下位になるほど錆びにくいことを示しております。この準位を腐食電位列といいます。
この電位は、SCE比較電極を基準にした電位です。スレンレス鋼(不動態)は、表面に不動態皮膜が形成された状態のもの、ステンレス鋼(活性)は、不動態皮膜がない状態のものです。
【表1】海水中の金属の腐食電位(V)
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